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第3話どうしてこうなった

 第2の人生勝つる。


 そう思った時が私にもありました。


 ええありましたとも! だってそうでしょ。異世界転生ってそういうものでしょ! だってチートスキルも貰ったんだよ!? それなのに……。


 ……なんで……なんでゴブリンなの!?


 膝から崩れ落ち私は本気で泣きそうになった。


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『新しい人生の異世界ライフを頑張って』


 そんな言葉を最後に目の前が暗くなっていく。


 ガサゴソと、なにかの音が聴こえるが気が付いたばかりの私は動く事が出来ず耳を澄ませる。


 なんの音だろう?


 私の他にも誰かいる?


 親かなぁ?


 ズルズルと音がする。


 引き摺られてる? なんで? 早く目を開けなきゃいけないけど体は全く動かない。


 ブンッ、ドサッ! と、まるでゴミでも投げるかのようにいきなり投げれた私。


 投げられた? 何故!? と、言うか痛いんですけど。何がどうなってるの?


 身体が慣れてきたのかようやく目を開けるとそこは薄暗い洞窟のようだった。


 ここはどこなんだろ? もしかして、私は産まれて直ぐに誘拐されたとか?


 幾つかの可能性を思い浮かべながらようやく動けるようになってきた身体を動かしてみる。


 あれ? ナンダロウこの緑の棒は? あぁそうか私の手か。道理で思い通りに動くと思ったよ。


 アッハッハッハッハッって、そんな馬鹿な!? それにしても名前が白亜なのに身体が緑色とはこれいかに!


〈必死に現実逃避しているところ恐縮ですがチュートリアルを始めます〉


 ウワッホイ!?


 いきなり頭の中で誰かの声が響き心の中とは言え変な声を上げビビる私。


 え? 何? 誰? ついに何かに開眼した!?


〈女神様からすでに説明を受けている筈ですが?〉


 えぇ~? なんの事? 私あの駄女神に何か言われたっけ?


〈はぁ……〉


 溜息吐かれた!?


〈すみません。では改めて自己紹介を〉


 あんた結構マイペースだな!


〈私は女神様に転生者のサポート役として生み出されたチュートリアルです〉


 ……え? 終わり!? 短いよ! てか、ほとんど説明になってないよね!? そりゃあ駄女神とはいえ神まで居て、剣と魔法のファンタジーです♪とは言ってたけどさ。


 いきなり頭の中でチュートリアルです。とか言われてもよく分かんないよ!?


〈そうでしょうか?〉


 あれ? 私がおかしいの!? いやいや説明になってないよね? おかしいよね? とりあえず貴女がチュートリアルって存在で、頭の中で話しかけてるのはこの際理解しよう。


 理解? ⋯⋯うん。理解、理解した! うん、呑み込み切れないけどもう理解した事にするよ! 


 だとしてもその説明は無しだよね。だって結局分かったの、貴女が駄女神に作られた事と名前がチュートリアルって事だけじゃん!?


〈その通りですが?〉


 チュートリアルが自分の事説明出来ないとはこれ如何に!? 何か無いの? 他にはさ、え~と、ほら、年齢とか、趣味とか?


〈年齢はありません。趣味もありません〉


 すいません。今のは自分の質問が悪かったです!


〈私は転生者のサポートが唯一の仕事で自分の生涯只一つの事です〉


 そんな大袈裟な。


〈いえ、私はチュートリアルです。それゆえに一度説明を終えればそのまま居なくなります〉


 は?


〈私は貴女にチュートリアルを授けたら消え去るのみです。チュートリアルはそれぞれの転生者の方の境遇に、ある程度合わせてあるので使い回しは出来ませんから〉


 はっ? 何……それ? アンタそんなんで納得出来るのか?


〈納得する、しないの問題ではなくそれが私という存在です〉


 なんだそれ? ふざけんなよ。


〈貴女が何を思おうとそれは変わりません。それが私ですから〉


 でも、って言っても変わらないんだよね?


〈はい、決められた事です。それではチュートリアルを始めてもよろしいですか?〉


 私は納得出来ないが、自分の置かれている状況もよく分からないのでチュートリアルさんにお願いした。


〈それでは、チュートリアルを始めます。まずは貴女の現状から説明したいと思います〉


 ──あっ、うん、お、お願いします。


 なんとか出来ないか考えてて反応が遅れてしまった。


 ⋯⋯自分の事だし今は聞くのに集中しよう。


〈まず、もう既に予想はしているでしょうが、貴女が転生したのはゴブリンという種族です〉


 あ~、やっぱりか。そりゃ~さ、転生先が人間とは言われなかったけど、まさかゴブリンとはね。あれっ? そういえばゴブリンって?


〈そして現状ですが、貴女はゴブリンが拐ってきたエルフの女性から産まれたようです。また、貴女はゴブリンの中では滅多に産まれないメスのミニゴブリンとして産まれました。因みに名前はゴブ子です〉


 うわぁ、この世界のゴブリンって可愛い方じゃなくて最悪な方か。でもまあ、滅多に産まれないって事はレアって事だよね! そうだよね!? ひゃっほー! てか、名前なんとかなりません?


〈いえ、必死にテンションを上げている所申し訳ありませんが、メスのゴブリンは生殖能力が無いので価値はありません。奴隷や家畜以下で、名前はこのゴブリンの群れから離れれば改名出来ます〉


 マジか!


〈はい。その中でミニゴブリンは普通のゴブリンの間でまれに産まれる劣等種です〉


 うぅ、嫌な予感はしてたけどさ。それってもしかして私⋯⋯。


〈恐らくは、アースガルド最弱種です〉


 やっぱりかー! キャラメイクからやり直させてくれい!


〈因みにこれが平均的なステータスの比較です〉


 そう言ってチュートリアルさんは私の頭の中にステータスを表示する。


 オォ! 数字が見えるどれどれ。


  名前:ゴブ子

  種族:ミニゴブリン

  HP:50

  MP:25

  物攻:2

  物防:2

  魔攻:2

  魔防:2

  敏捷:5

  知恵:100

  器用:50

  運 :20


  種族:ゴブリン

  HP:100

  MP:0

  物攻:10

  物防:10

  魔攻:0

  魔防:0

  敏捷:10

  知恵:5

  器用:10

  運 :5


  種族:成人男子

  HP:500

  MP:200

  物攻:200

  物防:150

  魔攻:100

  魔防:100

  敏捷:200

  知恵:300

  器用:200

  運 :10


  種族:子供

  HP:150

  MP:50

  物攻:15

  物防:15

  魔攻:10

  魔防:10

  敏捷:15

  知恵:20

  器用:20

  運 :10


 弱い、私弱すぎる! 人間の子供の平均より低い⋯⋯だと⋯⋯。


〈子供に攻撃されてもニ~三発で倒されます。ゴブリンは成長が早いので後ニ時間程で動けるようになるでしょう。メスは最下層の奴隷として雑用と動物狩りが主な仕事です〉


 もう絶望しかない! なんでどうして? どうしてこうなった!?


〈最後に一つ、貴女に伝えなければいけない事があります〉


 マジで? まだショッキングな事があるの!?


〈はい、ミニゴブリンに転生した貴女の寿命は一ヶ月、約三十日です〉


 ……えーと? マジっすか?


 チュートリアルさんは最後の最後に最大の爆弾をぶっこんできた。

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