規則正しい電子音が響いている。
僕が目を開けると、周囲がざわめいた。
思い出した。
僕は、異世界から転生してきた賢者。
の器うつわだった。
幼い頃事故で生死の境を彷徨い、そこへ賢者の魂が宿り、僕は長い眠りに就いた。
ぼんやりと、賢者の残した功績は覚えている。
だが、僕の人生は『無』だった。