「寒くなってきたね」
そう言って彼女を身を抱き寄せる。
北風が吹き付け、コートのえりを立てても寒さはしのげない。
だが、彼女が居れば、いつでも春の陽気だ。
『風速八メートルを観測。発熱量を増やしますか?』
「おねがい」
彼女は人型カイロ。
中でも彼女は、着る毛布にもなれる上位機種だ。