「お姉様が魔法を使えるから学園で評判なの?。だったら、私も魔法を習えばいいのね。大丈夫、あのくらいすぐにできるわ」
妹は、姉のものはなんでも欲しがります。そして、姉から奪っては、すぐに放ったらかし。父親も母親も友達も同じような人種なので、姉には厳しく、妹には甘々。妹は調子にのって言いました。
お姉様程度の魔法なんて私でも出来るわ。私もすぐに人気者ね。
ところが、魔法を使ってみても、なかなか上手にできません。次から次に新しい魔法を習いましたが,途中でやめる始末。妹は言いました。
「お姉様ばっかりずるい! 私に魔法陣頂戴!」
「出来ないことは出来ないのよ。妹」
「そんなことない! お姉様の魔法陣を譲って!」
妹のうるさい攻撃で、姉は魔法陣を共有して使う事にしました。
妹が新しい魔法を使うと、姉の新作魔法と思い、一気に話題になりました。
ところが、それは一瞬の事。すぐに使えないと人々は離れて行きました。
姉は困って近況ノートで、「妹の新作魔法です。使ってください」と、自己防御魔法をかけました。
「お姉様ばっかりずるい!」
「それが実力よ。あなたの魔力は53。2度掛けは-98%。私の魔力は1万越えよ」
「魔力の自慢なんてずるい!」
「現実なのよ」
「魔力頂戴!」
「どうやって?」
「………………ずるいものはずるいの!」
◇
やがて姉は、聖女と認められ王子と婚約しました。
「お姉様ばっかりずるい!」
「これは王家が決める事よ」
「ずるいったらずるい! 私に譲ってよ!」
「無理」
「……」
やがて、王室から婚約が正式に発表されました。姉も親戚や友達にお手紙で報告しました。
婚約しました。とても嬉しいです。結婚式にはぜひお越しください。
「お姉様ずるい! 結婚マウントだ!」
「何いっているの? お知らせ大事じゃない」
「彼氏もできない私にマウント取って! ずるい!」
妹は手紙を書きまくりました。『結婚報告でマウントとるのはずるい! やめろ! 出来ない人のこと考えて!」
甘々のお友達は、そうだそうだと盛り上がりました。
「人の気持ちも考えないクズ姉」
「少しくらい気を使ってあげて」
「ご自慢ですか! 酷いですね」
「妹よ、何してるの?」
「お姉様が悪いんです。自慢ばっかりするから」
「いや、自慢じゃなくて報告なんですが」
「それが自慢なのよ。キ—————」
でも、婚約報告はしなければいけません。当たり前です。新米の聖女としての仕事ですから。
「マウントやめろ—————」
妹は叫び続けます。
◇
無事、結婚も終わり、姉は大聖女として日々忙しくしています。
妹がどうなったって?
妹は嫉妬にかられ、自称聖女として借金を背負って生きています。
聖女としての力を今日も宣伝しています。
『聖女になりました!」
お友達は、あきれ果てました。
「おまえが言う?」
「しょせん、偽聖女でしょ」
「誰が頼むのよ!」
「それってマウントw」
妹はやっぱりこう言うしかありませんでした。
「お姉様、ずるい—————」
おしまい