魔道具作りは、一回休憩! 先生方要求多すぎて、飽きた。夏休みに働かせ過ぎだよ!
それはそうと勇者たち。農高的教育で、心身は鍛えられたよね。良い傾向です。細かな恋愛イベントもこなしているみたいだし、ゲーム的にも進んでいるみたいだね。私が魔道具作らされているうちに進んでいるよ! メイリよくやったね!
じゃあ、そろそろ実践に行こうか!
夏休みのイベントと言えば、海水浴と聖剣イベントね。海水浴で親密度を上げて、聖剣を入手させる。もちろん、聖剣を手にするのはヒロインちゃんの相手役。この時点で親密度が高いキャラが手に入れるのよ。だから途中で攻略対象を変えると大変なのよね。そういうプレイもあるんだけどね。
このイベント何年目で出すかも重要なんだけどね。もういいでしょ。
「皆、よく頑張った。このくらいできれば簡単な魔物なら安全に倒すことができるだろう。せっかくの夏休みだ。お前らに楽しみを与えよう! 実践形式で海まで移動。もちろん徒歩でだ。無事海までたどり着いたら、2日間の休暇をやる。そこで友情やら愛情やらを育んだらいい。好きなだけイチャイチャしやがれ〜!」
おーおー、ガキ共喜んでいるよ。飛び跳ねちゃって。青春だね。
「では今日はこれで終わりだ。明日はまるっと休め。必要なものはここに書いておいた。パートナーと買い物にでも行って来い。女子の荷物持ちできる男はモテるぞ」
これで、小イベントのお買い物もクリアできるだろう。私はメイリと準備するさ。
おっ、キール王子が照れながらエリーヌちやんをデートに誘っているよ。やるじゃん。
カール王子は、あ、まだ「あああああああ」呼びしてるよ。やめてあげなよ! そうね、命令には逆らえないよねアンリちゃん。しぶしぶデートだね。
ウーリとエールは……放っておこう。
イリーナとクールは……。クール名前の通りにクールだね。スマートっていうか。イリーナも優雅に応じているね。ちょっと赤くなってる? イリーナ様うぶ?
ま、明日は楽しんだらいいよ。明後日から地獄だからね。
◇
「うわ〜! 出た〜」
おいおい、魔物出るたび騒ぐなよ。クレイジードッグ五匹だろ。あれだけ戦って来たんだ。普通にやれば勝てるよ。きっと。
「だって、リアルだと怪我が治らないんでしょ!」
当たり前だ。でも逃げ腰だと向こうが余裕になるぞ。
「お前らは私が鍛えた。自信をを持て。いざとなったら助けてやる。かすり傷など恐れるな。そのためのパートナーだ。ほれ、バフかけてやれよ」
女子も気が利かねーな。ま、なれりゃ何とかなるでしょ。
「ほらっ、一頭倒してやるから。一人で一殺頑張れ!」
メイリに四俣フォークを投げ渡すと、メイリは一頭瞬殺した。
「後はお前たちの獲物だ。敵前逃亡は我々と戦うということだ!
男どもにメイリのフォークが向けられる。慌てふためいて、犬に襲い掛かる男ども。最初からそうしろよ!
「そうだ! 実践あるのみ。お前たちに必要なのは経験と自信だ。そのうち慣れる。頑張れ!」
何とか倒せたみたいだね。だから最初からやればいいのに。お、回復かけてる。女子は順応早いね。
「じゃあ、それ終わったら解体するから。女子の皆さま頑張ってね」
あれだけ解体したんだ。男子より
いらない所は土に埋めるんだよ、ほら、シャベル役立つでしょ。
◇
「重い……どこまで歩けばいいんですか」
クール、体力ねえな。
「ですが、この荷物を持ってでは」
「最低限の持ち物は紙に書いておいたはずだ。それ以上持ってくるからそんなことになる」
「大半はイリーナ嬢の荷物だ」
あらあら。男気出して持ってあげたのね。でもその発言ダメよ。イリーナ様が睨んでるぞ。
「いらんものは捨ててしまえ、クール」
「ダメですわ。私の私物」
「だったら自分で持つんだなイリーナ。前線の兵士に無駄な体力使わせるな」
「私侯爵令嬢ですのよ。身の回りのものは必要なのです」
「あたしゃ、大公令嬢だ! 公爵より偉い私がこの程度の荷物なのはなぜだ? サバイバルだからだよ。各自、自分の物だけ持つように。命令だ!」
男どもの荷物が半減した。
「自分で持てるだけ持て。それ以外は置いて行くんだ」
睨んだってどうもしないよ。ま、私はマジックバック持ちだから気にせず旅ができるんだけどね。
女の子たちが、捨てられた荷物の中から持って行けそうなものを探している。まあ、そのくらいはしょうがないか。
「お前たちは、勇者パーティだ。やがて私抜きで冒険の旅に出なければいけないんだ。その訓練を安全に行っているんだ。甘えた根性と一緒に無駄なものは捨てろ。野宿当たり前が勇者としての仕事だ!」
おいおい、そんなことも理解していなかったのかよ。
「もう少しで川に着く。そうしたらそこで今日はキャンプだ。寝床、飯の支度は自由にやれ。不寝番はパートナー同士4つに分かれて行うこと。順番は話し合え。では、お邪魔しないように、我々二人は離れてキャンプするよ。死にそうになった時だけ叫べ。手伝ってやる」
いちいち子守りしてられっか。メイリと二人なら気楽にキャンプができるよ。
「手伝ってくれないのか?」
何期待してるんだ王子。
「女子にいいとこ見せてやれ。頼りがいがあるとモテるぞ」
女子たち、そんな目で私を見ない! 大丈夫、男子頼りなくてもあなた達ならできる。解体上手だしね。あとは煮るか焼くだけだよ。
あのさあ、魔王倒すんだろ? 魔王の所までどうやって行く気なの? 私は行かないよ! 勇者に任命されていないからね。本当に良かったよ。
「行くぞ。離れたやつまで面倒みきれないからな」
歩いていったら、しぶしぶ付いてきたよ。
「あの、リリアさん」
「何でしょうアンリさん」
「さっきの戦闘で、私レベル上がった感じがしないのです」
えっ? レベル?
「レベルってなんですか?」
「パーティで一緒に戦ったら、関わった人達に経験値が入って来るんですよね」
え? この子なに?
「何を言っているか分かりません。経験は行った者しか分からないものでしょう? 筋トレ隣の人がしたって私の筋肉増えないですよね」
「えっ?」
不思議そうな顔してるよ。転生者なのか? あああああああだったしな。あっ!
TSだったらやべえな。あああああああなんて名付けなんか、やり込み厨の男しかつけねえよ。やっべえ、騙されるところだったよ。かわいそうな女子だと思っていたら、実はネカマ? お近づきにならない方が良さそうだね。
「まあ、頑張ってね。あああああああさん」
他の女子が心配だけど、まあ私が関わることじゃないよね。離れよ。
「やめて! あああああああはやめて~!」
そう言われましてもねえ。TSレズものは趣味じゃないのよ。ちゃっちゃと離れましょう!
「行きますわよ、あああああああさん」
私はメイリと先頭に立って進んだよ。
◇
「はい。ここでキャンプだ! 寝床と飯とたき火。これだけは最低用意しておくことだ。日が暮れる前に手分けして用意しな。じゃあ、私等は離れて過ごすよ。これは魔王退治のための訓練の一環だからな。生き残ることを目標に、健闘したまえ」
手? 貸さないよ。こんな安全な場所で出来なかったらどうすんだよ。失敗したって死ぬわけじゃないし。一日目だから体力残っているでしょ? 頑張れ~。
さ、行くよメイリ。
「久しぶりの出番です~!」
え? いきなりのメタ発言?
「ひどいですよ~。8歳、
知らねえよ。作者に言え!
「百合展開期待させて放ったらかし。もう何話過ぎたと思っているんですか。プンプン」
こんな子だった? あれ? 隣いてたよね?
「セリフがなければ出番がないのと一緒ですよ。リリア様だって私の性格把握していませんよね」
「え? まあなんだ。役には立っているぞ、メイリ。いつも感謝しているんだ」
「本当ですか?」
「もちろん。じゃあ、テントを張ろうか。手伝ってくれる?」
「もちろんです! 久し振りのリリア様と二人っきりの日! 今日はテントで一緒に寝ましょうね~」
だから、レズはいらないんだって。
「レズじゃありません! ほのぼの百合です。解釈違いますよ?」
分からん! なにこれ?
前門のメイリ、後門のあああああああ?
ほのぼの百合と、TSレズ。研ぎ師リリアって、こんな話じゃないよね!