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冤罪で処刑されるお姉様を助けるのは異母妹の私です!
江戸川ばた散歩
ミステリーサスペンス
2024年10月18日
公開日
55,416文字
連載中
皇族毒殺未遂の罪において、同じ毒で処刑されることが皇帝の前にて決まったバスタゼイリア侯爵の次女シリア。
それまでにも毒殺未遂や毒殺というものが宮中のあちこちで起こっていたことから、皇族貴族達の間からは安堵の声が上がる。
実家の父親・バスタゼイリア侯爵ゼイリックは「そんな痴れ者が我が家にいたとは恐ろしい」と知らぬ存ぜぬ。母親が違う姉はシリアを元々見下しており、厄介者が減ったとばかりである。
だがやはり上の姉ともシリアとも母親が違う妹のマリアはシリアの無実を信じる。
マリアにはその理由があったのだ。

序 処刑のための逮捕

「バスタゼイリア侯爵令嬢シリア、貴女を第一皇女殿下に毒を盛った罪により逮捕いたします」


 その日、我が家へ唐突な訪問者がたくさん現れた。

 彼等はどかどかと屋敷の廊下を突っ切った。無作法だわ、と私は思った。だけどそれだけならまだよかった。

 彼等は居間の扉を開けると、ぐい、と逮捕状を突きつけそう言い放った。


「小姉様?」


 私は呼ばれて即座に立ち上がったたひとを仰ぎみた。唇をぐっと噛んで悔しそうな顔だ。


「……何と、お前、何ってことをしたんだ」


 お父様は小姉様――シリアにそう怒鳴りつけた。


「ああ何ってこと! 我が家からそんな恥知らずが出るなんて!」


 私の対面に座っていた大姉様がその場にへなへなと崩れ落ちた。私達はこの日、大姉様の縁談について、家族で話し合っていたのだ。


「ああ何ってことだ…… して、娘の過ち、我々にも何かしらの取り調べがあるというのだろうか?」

「まだその辺りは」


 使者の方は、短くそう言い、連れて行け、と部下に命じた。


「小姉様!」

「心配しないで、マリア」


 黒くしっとりとした長い髪をざっと揺らせ、後ろ手を縛られたシリア姉様は連れられて行った。

 きっとこの後取り調べがあって……

 ああ大変だわ。

 だってほら、お父様も大姉様、エリアもその場にかがみ込んではいるけど、ほくそ笑んでいるじゃない。

 とんでもない!



 その一週間後、我が家にシリア姉様の「毒には毒を」な処刑が行われたことが告げられ――

 私はこの家から飛び出した。

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