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周顗2  弟との別れ

周顗しゅうぎさんの下の弟である周謨しゅうも

晉陵しんりょう太守に任命された。


周謨が任地に向かう際、

周顗さんと、上の弟の周崇しゅうすう

見送りに出る。


周謨、いよいよ出発という時に

やおら号泣。涙が止まらない。


それを見て周崇、イラッとする。


「なんだお前、女かっつーの!

 別れ程度でビービー泣きやがって!」


そう吐き捨てると、

立ち去ってしまった。


もちろん周顗さんは残ったよ。

一緒に酒を交し、しばし語らう。


いよいよ出発の時間となった。

周顗さんも涙をこぼし、

周謨の背中を撫でる。


「謨、我が身を大切にな」




周叔治作晉陵太守,周侯、仲智往別。叔治以將別,涕泗不止。仲智恚之曰:「斯人乃婦女,與人別唯啼泣!」便舍去。周侯獨留,與飲酒言話,臨別流涕,撫其背曰:「奴好自愛。」


周叔治の晉陵太守を作さるに、周侯と仲智は往きて別る。叔治の以て將に別れなんとせるに、涕泗は止まず。仲智は之に恚りて曰く:「斯人は乃ち婦女たらんか、人と別るるに唯だ啼泣せん!」と。便ち舍て去る。周侯は獨り留まり、與に酒を飲みて言話し、別るに臨みて流涕し、其の背を撫して曰く:「奴、好く自愛せるべし」と。


(方正26)




周顗

世説新語が誇る面白キャラの一人。なかなかに傲岸不遜、己が才能を自負しており、元帝を支える朝廷の第一人者と自認してはばからない。けど王導おうどうさまの機知に鼻っ柱へし折られたり、うっかり酒の失敗で王導に見限られたりしてる。


周謨

周顗さんの下の弟はなかなかにいい奴だったようである。地方長官として活躍したが、王敦おうとんの乱で周顗さんが殺されると、かれも王敦の元に引っ立てられた。そこで「兄は義士として不義の者の貴様に殺されたのだ!」と叩きつけ、それがもとで殺されている。


周崇

いや、こいつ頭おかしいよ……次話参照。

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