嫁に迎えてまもなく。
トイレに行くと、
干したナツメがあった。
ウンコする時にくさいから
鼻に詰めるためのものだ。
「おっトイレに喰いモンとは典雅やな!」
ヒョイパクー。
トイレから戻ってくると侍女が、
金澡のトレーには水を、
瑠璃の椀には手洗いのための豆を入れ、
王敦にささげ持った。
「おっここでも喰いモンとは
大盤振る舞いやな!」
水の中に豆ドバー。
ズルズルムシャムシャー。
宮中のルーチンを
まるで理解していない王敦に、
侍女たちは口を覆って
くすくす笑ったそーである。
王敦初尚主,如廁,見漆箱盛乾棗,本以塞鼻,王謂廁上亦下果,食遂至盡。既還,婢擎金澡盤盛水,琉璃碗盛澡豆,因倒箸水中而飲之,謂是乾飯。群婢莫不掩口而笑之。
王敦の初に主を尚うるに、廁に如き、漆が箱に盛らる乾棗を見、本は以て鼻を塞ぎたれど、王は廁上にて亦た果を下すと謂い、食し遂には盡くすに至る。既に還ざば、婢の金澡の盤に水の盛りたると、琉璃の碗には澡豆の盛りたるとを擎げたれば、因りて倒じて水中に箸け之を飲む。是れを乾飯と謂いたればなり。群婢に口を掩いて之を笑わざる莫し。
(紕漏1)
えっこれむしろ豪爽じゃない……?