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王導39 嵆阮を希う

容姿端麗、姿儀粛然たる周顗しゅうぎさん。

めったに人さまの家を

訪問しようとしない彼であったが、

その彼が重い腰を上げ、

王導おうどうさまのご自宅を

訪問することになった。


とは言えその態度は

なかなかにアレである。

車から降りるに際しては

複数人に担がれて

下ろしてもらうし、

席についたら挨拶もそこそこに、

いきなり詩吟を始めたりする。


そのアレな振る舞いに、

王導さま、苦笑を禁じ得ない。


「周顗、きみは嵆康けいこう阮籍げんせきにでも

 なりたいのかね」


竹林七賢。

時の権威におもねらず、

気ままな振る舞いをしていた二人だ。


周顗は答える。


「まさか! 私が憧れるのは王導さまです。

 なんでそんな昔の人間になど

 憧れましょう」




周僕射雍容好儀形。詣王公、初下車、隱數人。王公含笑看之。既坐、傲然嘯詠。王公曰:「卿欲希嵇阮邪?」荅曰:「何敢近舍明公、遠希嵇阮?」


周僕射は好き儀形の容を雍す。王公を詣で、初にして下車せるに、數人に隱す。王公は笑みを含みて之を看る。既に坐せるに、傲然と嘯詠す。王公は曰く「卿は嵇阮を希わんと欲せんや?」と。荅えて曰く「何ぞ敢えて近き明公を舍て、遠き嵇阮と希わんか?」と。


(言語40)




周顗と言えば、基本王導に負けたくないと思ってるマンだからなー。あなたの前でも堂々とすることが、ぼくなりの矜持の示し方なんだよ、って感じですかのう。


虚勢張りマンのように思えてきたぞ周顗。

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