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楊脩4  竹を忖度す

曹操そうそう袁紹えんしょうを倒そうとしていた時のこと。

様々な装備を整えていったところ、

10センチにも満たないような竹片が、

ゴロゴロと残った。


「邪魔だなこれ、焼こうぜ」


人々がそう言っている中、

曹操にもったいないおばけが宿る。


「集めて盾にできんじゃんコレ」


とは思ったが、敢えて黙っていた。


で、

ふと楊脩ようしゅうならどう答えるだろうと思い、

曹操は使者を遣わせ、楊脩に答えさせた。


以下略。




魏武征袁本初,治裝餘有數十斛竹片,咸長數寸,眾並謂不堪用,正令燒除。太祖甚惜,思所以用之。謂可為竹椑楯,而未顯其言。馳使問主簿楊德祖。應聲答之,與帝正同。眾伏其辯悟。


魏武の袁本初を征するに、裝を治むるも數十斛の竹片の餘れる有り、咸な長さ數寸なれば、眾は並べて用うるに堪えざると謂え、正に燒き除かしめんとす。太祖は甚だ惜しみ、以て之を用うる所を思ゆ。竹椑を楯と為すべしと謂わんとするも、未だ其を言にては顯わさず。馳せて主簿の楊德祖に問わしむ。應じて之に聲答するに、帝と正しく同じくす。眾は其の辯の悟りたるに伏す。


(捷悟4)





捷悟七編のうち四つが楊脩とか、ほぼこの章はこの忖度モンスターのためにあるようなもんです。つーか楊脩、捷悟編以外出て来ないしね! どんだけだよ。


なお楊脩についての最大のオチは、三国志演義に結びつけると最高にロック。何せ「忖度し過ぎたから殺された」んです。鶏肋見てぼーっとしてる曹操の様子見て勝手に撤退準備開始。で激怒した曹操に殺されました。ただその後、漢中からの撤退を決めた時「あそこで楊脩の動きに乗ってりゃ、あんな被害も出なかったよな……」と曹操さまは後悔するのでした。ちゃんちゃん♪


まぁ正史にも「曹操さま取扱説明書」を曹植そうしょく(曹操の息子で皇太子候補、後継者争いに敗北した)に渡したって話があるからなかなかアレ。

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