父の不慮の事故に出遭い、
命を賭して行方不明の父の亡骸を探した
孝女「曹娥」の伝説を記した碑だ。
あ、ちなみに
さてその曹娥碑のもとに
曹操が
通りがかった時のこと。
曹操は、碑の上の方に
落書きがあったのを見かけた。
以下の八文字だ。
「黃絹幼婦外孫齏臼」
曹操「イミフ」
楊脩「ワカタ」
曹操「マジカ」
あぁ待て答えるな、俺に考えさせろ。
けどそのまま三十里くらい歩いてしまう。
曹操「ワカタ」
そして先に楊脩に答えを書かせる。
「黃絹は色のついた糸。絕と解する。
幼婦は少女、ならば妙と。
外孫は女(=娘)の子となるので、好。
つまり『絕妙好辤』ですね。
曹娥碑イイネ! ってところですか」
併せて書いていた曹操の答えも
同じものだった。
曹操「オゥフ」
俺の才能は楊脩に三十里及ばないのか。
そう嘆く曹操さまなのだった。
なんだそれ具体的だな。
魏武嘗過曹娥碑下,楊脩從,碑背上見題作「黃絹幼婦,外孫齏臼」八字。魏武謂脩曰:「解不?」答曰:「解。」魏武曰:「卿未可言,待我思之。」行三十里,魏武乃曰:「吾已得。」令脩別記所知。脩曰:「黃絹,色絲也,於字為絕。幼婦,少女也,於字為妙。外孫,女子也,於字為好。齏臼,受辛也,於字為辤。所謂『絕妙好辤』也。」魏武亦記之,與脩同,乃嘆曰:「我才不及卿,乃覺三十里。」
魏武の嘗て曹娥碑が下に過ぐるに、楊脩は從い、碑の背上に「黃絹幼婦,外孫齏臼」八字の題の作さるを見る。魏武は脩に謂いて曰く:「解けるや不や?」と。答えて曰く:「解けり」と。魏武は曰く:「卿は未だ言うべからず、我が之の思いたるを待つべし」と。三十里を行きて、魏武は乃ち曰わく:「吾れ、已に得たり」と。脩に別に知りたる所を記さしむ。脩は曰く:「黃絹、色絲なり、字にては絕と為る。幼婦、少女なり、字にては妙と為る。外孫、女が子なり、字にては好と為る。齏臼、辛を受くるなり、字にては辤と為る。いわゆる『絕妙好辤』なり」と。魏武も亦た之を記し、脩と同じくするに、乃ち嘆じて曰く:「我が才の卿に及ばざること、乃ち三十里と覺ゆ」と。
(捷悟3)
続けて読むと前二編、このエピソードの意趣返しじゃね? って印象にもなります。そうやって考えると、世説新語の曹操さまかわゆい。
なお世説新語に注を入れた劉孝標は「曹娥碑って会稽(※要は呉の結構な奥地)にあるから曹操が見れるはずなくない……?」とツッコミを入れています。無粋だなぁ劉孝標くんは、もう!