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楊脩1  門を忖度す

楊脩ようしゅう曹操そうそうの秘書に任ぜられていた。


この頃、曹操は丞相じょうしょうに任命された。

そこで丞相のための役所が

建設されることになった。


視察に来た曹操。仮組みされた門を見て、

その下に「活」と言う字を

配下に書かせて立ち去った。


楊脩はこれを見て、すぐさま

門の取り壊しを命じた。


意図が理解できず、

それでも命令に従う工夫たち。

一通りの解体が済んでから、楊脩が言う。


「門の中に「活」だろ。

 そしたら「闊」になる。

 つまり曹操様は、でけェよバカ、

 って言いたかったんだよ」




楊德祖為魏武主簿。時作相國門,始搆榱桷。魏武自出看,使人題門,作「活」字,便去。楊見,即令壞之。既竟,曰:「門中『活』,『闊』字。王正嫌門大也。」


楊德祖は魏武の主簿と為る。時に相國門を作るに、始めて榱桷が搆ぜらる。魏武は自ら出でて看、人をして門に題せしめ、「活」の字を作り、便ち去る。楊は見て、即ち之を壞さしむ。既にして竟わらば、曰く:「門中の『活』は、『闊』の字となる。王は正に門の大なるを嫌うなり」と。

(捷悟1)




楊脩

曹操の意図を恐ろしい勢いで察するマン。曹操が漢中かんちゅう劉備りゅうびを攻めていた時のこと、曹操が鶏の肋を見てぼーっとしてたら、「ははぁん……?」と、楊脩は一瞬にして、その意図を察した。いわく「鶏肋は捨てるには惜しいが、食べても腹の足しになるほど肉がついてない」、つまり「漢中は惜しいが今が撤退の潮時なのではないか、と悩んでいる」とのこと。なんですかその訳の分かんない芸当。恐らく三国志中にこのエピソードがあるせいで、こっから先に展開する楊脩さん察しまくり祭が発生してる。


注では「この頃の曹操は献帝を上回る権勢を手に入れていたから、門があんまりにもデカすぎると簒奪疑われてまずいんじゃねって判断した」みたいなことも書かれてます。そこまでの心情を織り込めば「デカい、やり直し」は理解できますが、にしたって曹操さんさぁ、喋れよそこは。工夫たちなんも悪くねえよ。

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