強い。マジで強い。
曹丕にとってはほんとに怖い。
(後継者争い的な意味で)
さて、母親の
曹丕と曹彰が囲碁を打つことになった。
碁盤の横にはいくつかのナツメがある。
いくつかを一緒に食べた後、
曹丕はこっそりと、
あるナツメのヘタに毒を忍ばせた。
「彰。これ旨そうだ、やるよ」
曹彰は、曹丕の意図に気付かない。
素直に貰い、食べ、毒に当たる。
「し、彰!」
パニクる卞皇太后。
部屋を出て水を求めたが、
そこは曹丕、先回りして
近くの水瓶をたたっ壊させていた。
恥も外聞もあったもんじゃない。
卞皇太后は靴も履かず、
井戸にまで駆けていく。
けど、水は汲めない。
そうこうしているうちに、
曹彰は死んでしまった。
後日曹丕は
そしたら卞皇后、ぴしゃりと言う。
「私の彰の次は、私の植も奪うのですか?
そんなこと、許すと思いますか?」
魏文帝忌弟任城王驍壯。因在卞太后閤共圍棊,並噉棗,文帝以毒置諸棗蔕中。自選可食者而進,王弗悟,遂雜進之。既中毒,太后索水救之。帝預敕左右毀缾罐,太后徒跣趨井,無以汲。須臾,遂卒。復欲害東阿,太后曰:「汝已殺我任城,不得復殺我東阿。」
魏の文帝は弟の任城王の驍壯なるを忌む。卞太后が閤に在りて共に棊を圍み、並べて棗を噉らうに因り、文帝は毒を以て諸もろの棗蔕が中に置く。自ら食すべき者を選びて進むに、王は悟る弗く、遂には雜えて之に進む。既にして毒に中り、太后は之を救わんと水を索む。帝は預め左右に敕し缾罐を毀たしめたれば、太后は徒跣にて井に趨るも、以て汲むる無し。須臾にして、遂には卒す。復た東阿を害さんと欲するに、太后は曰く:「汝は已にして我が任城を殺せるも、復た我が東阿は殺し得ざれり」と。
(尤悔1)
曹丕
曹操の息子にして後継者。文帝。「すごい。けど性格悪い」「千古の名君になったと思う。あの性格さえなければ」と評される素敵な人。もちろん後でもうちょい出てきますよ。
卞皇太后
曹操の奥様。曹丕・曹彰・曹植・
曹彰
曹丕の弟、曹植の兄。本文中にあるように、並外れた武勇の持ち主だったという。それにしても、正直怖い。こんなエピソード(どう考えても捏造にもほどがある)を乗っけてくる編者の曹氏ヘイトが怖すぎる。だからこそ好き。