結構
ある時、新婚カップルを見かけた二人。
にやりと、二人がヤバい笑みを浮かべる。
新郎の家の庭に潜り込み、夜を待つ。
そして夜、宴がたけなわとなっていた頃、
宴の行われていた屋外の天幕の外から
「泥棒が出たぞ!」
と叫んだ。
天幕の中の人は驚き、
外に様子を見に出てきた。
その隙をついて天幕の中に侵入。
新婦に短刀を突き付けて脅し、掻っ攫う。
やんちゃ……?
だが逃げる途中、道に迷うわ
袁紹は路肩の茂みに嵌って
身動きが取れなくなるわ。
そこで曹操が叫んだ。
「ここに泥棒がいるぞ!」
そりゃ袁紹もビビる。
新婦を放り出して脱出。
そうして二人とも逃れたとさ。
めでたしめで……たくねぇよ!
そしてこちらは、おそらく後日のこと。
花嫁泥棒の時のことを恨みに思ったか、
袁紹、剣投げの達人を連れてきて、
夜、眠る曹操に向けて剣を投げさせた。
ぇえ……。
ただその剣、寝床の少々下に当たり、
曹操には命中しなかった。
これは、次は上を狙ってくるな。
曹操、ベッドから降りて横になる。
すると思った通り、
剣は曹操の上を通過していくのだった。
魏武少時,嘗與袁紹好為游俠,觀人新婚,因潛入主人園中,夜叫呼云:「有偷兒賊!」青廬中人皆出觀,魏武乃入,抽刃劫新婦與紹還出,失道,墜枳棘中,紹不能得動,復大叫云:「偷兒在此!」紹遑迫自擲出,遂以俱免。
魏武の少き時、嘗て袁紹と好みて游俠を為す。人の新婚なるを觀、因りて主人の園中に潛りて入り、夜に叫呼して云えらく:「偷兒の賊有り!」と。青廬の中の人の皆な出でて觀たるに、魏武は乃ち入り、刃を抽して新婦を劫して紹と與に還りて出づ。道を失い、枳棘の中に墜ち、紹は動き得る能わず。復た大いに叫びて云えらく:「偷兒は此に在り!」と。紹は遑迫して自ら擲ちて出で、遂には以て俱に免る。
(假譎1)
袁紹年少時,曾遣人夜以劍擲魏武,少下,不箸。魏武揆之,其後來必高,因帖臥床上。劍至果高。
袁紹の年少なる時、曾て人を遣りて夜を以て劍を魏武に擲たしめど、少しく下がり、箸かず。魏武は之を揆し、其の後に來たるは必ずや高かりしと、因りて床上に帖臥す。劍の至りたるは果たして高し。
(假譎5)
袁紹
曹操最大のライバルですね。