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陳寔3  太丘県長

陳寔ちんしょく太丘たいきゅう県の県長となり、

その職歴より「陳太丘」と呼ばれている。

言い換えれば、太丘県での治績が

抜群であったからこその呼称である。


では、実際に

どのようなお裁きを下したのだろうか。



太丘県の職員が、母の病気を詐称し、

休みを取ろうと目論んだ。


詐称が発覚し、収監される職員。

ここで陳寔が下したお裁きは、

死刑。


えっちょっと待ってください!

陳寔の書記官が、陳寔に言う。

かれのもとに向かい、

もう少し聞き取りをさせてください。


書記官殿としても、

さすがにその求刑は

重すぎるのではないか、

と思ったのだろう。


が、陳寔は言う。


「これ以上、何を調べるというのだ?

 上官を欺かんがために、

 母を勝手に病ませたのだぞ。


 不忠にして、不孝。

 これ以上、奴の振る舞いを調べたとて、

 その大罪に何の影響がある?」



またある時、金持ちを殺し、

その資産を盗もうとした盗賊が捕まった。


盗賊を裁くため、現地に向かう陳寔。

その途中で、一人の赤子が

生まれたにもかかわらず取り上げられず、

そのまま死んだ、という事件に遇った。


陳寔、強盗事件をシカト。

赤子死亡事件の現場に向かう。

そして、この事件を裁いた。


書記官殿、言う。


「賊による被害は甚大です!

 先に解決すべきものがありましょう!」


すると陳寔、答えるよ。


「金持ちを殺すのと、

 親が子を手掛ける事の、

 どちらが罪深いことだと思っている?」




陳仲弓為太丘長,時吏有詐稱母病求假。事覺收之,令吏殺焉。主簿請付獄,考眾姦。仲弓曰:「欺君不忠,病母不孝。不忠不孝,其罪莫大。考求眾姦,豈復過此?」

陳仲弓の太丘の長為るに、時の吏に母の病を詐稱し假を求む有り。事の覺らかなるに之を收し、吏をして殺さしむ。主簿は獄に付し、眾姦を考ずべく請う。仲弓は曰く:「君を欺くは不忠にして、母を病すは不孝なり。不忠不孝なれば、其の罪は莫大なり。眾姦を求むを考ずるは、豈に復た此に過ぎんか?」と。

(政事1)


陳仲弓為太丘長,有劫賊殺財主主者,捕之。未至發所,道聞民有在草不起子者,回車往治之。主簿曰:「賊大,宜先按討。」仲弓曰:「盜殺財主,何如骨肉相殘?」

陳仲弓の太丘の長為るに、劫賊の財主を殺し主たる者有り、之を捕う。未だ發所に至らざるに、道にて民に草に在りて子を起たさざる者の有るを聞き、車を回し往きて之を治む。主簿は曰く:「賊は大なれば、宜しく先に討てるを按ずべし」と。仲弓は曰く:「財主を盜殺せるは、何ぞ骨肉の相い殘さるに如かんか?」と。

(政事2)




うんまぁ、ごめん、俺こんな上司いやだ。


どう考えてもマイルール振りかざし系じゃないですか……。


徳行編で「陳寔は貧乏暮らしだった」って部分が効いてきてる感じでいいですね。

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