京房の提示したテーマは、こうだ。
「
どのような人物を
信任していたのでしょうか」
元帝は答える。
「任ぜられた人物は、王に対し
忠心を抱いておらなんだのであろう」
ほほう。
京房、問いを進める。
「不忠なる人物を、
何故王らは採用したのでしょう?」
元帝は言う。
「幽王、厲王は、彼らを賢臣と見た。
不忠の者であると知っていたら、
果たして信任したであろうかな?」
京房、内心でニヤリとする。
が、それはおくびにも出さず、
深々と頭を下げた。
「我らが古人に見るようなことを、
後進が我らに見出さねば良いのですが」
京房與漢元帝共論,因問帝:「幽、厲之君何以亡?所任何人?」答曰:「其任人不忠。」房曰:「知不忠而任之,何邪?」曰:「亡國之君,各賢其臣,豈知不忠而任之?」房稽首曰:「將恐今之視古,亦猶後之視今也。」
京房と漢元帝は共に論じ、因りて帝に問うらく:「幽、厲の君は何ぞを以て亡びしかか? 任ぜる所は何ぞの人たりや?」と。答えて曰く:「其の任ぜらる人は忠ならざればなり」と。房は曰く:「忠ならざるを知りて之を任せるとは、何ぞや?」と。曰く:「亡國の君は各おの其の臣は賢なりとす。豈に忠ならずを知りて之を任したるか?」と。房は稽首して曰く:「將に恐るらくは今の古を視たるを、亦た猶お後の今を視たるなり」と。
(規箴2)
元帝
先代の
京房
幽王、厲王
ともに西周の王。厲王がぐちゃぐちゃにした西周の体制を、次代の「