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第5話

オホホホホホホーーー!!と、高笑いが部屋に響き渡った。


「お前達、聞いたかい?華蓮殿は、あの、小さな中庭で茶会を開くそうじゃ!ホホホ、策が尽きたのか!!」


自身が放った侍女の報告に、耀我ようがは、ご機嫌を越えている。


「勝負は、すでに、こちらのもの。さて、勝っただけでは、つまらぬ。皆を圧倒させるほど、派手にしつらえよ!」


──その頃、色白、鼻筋すっきり、切れ長の瞳を持つ、美男の条件満載の宦官が、華蓮の宮を訪れ、こうべを垂れていた。


「……でも、何故、後宮に属する宦官あなたが、耀我様の事を私に?」


「はい、下品だからです」


ぶっ、と、側に控えていた腹心三人組が、吹き出した。


宦官は、ちらりと目をやると、何事も無かったように、華蓮へ再び向かった。


「そこまで言わなくとも。あなたの、あるじ筋にあたる方なのですからね」


「私どもは、あくまでも、陛下に仕える身。たまたま、このような体で、後宮へ出入りしているだけの話です」


「と、とにかく、こちらの様子を探っているということね。知らせてくれて、ありがとう」


「いえ、礼には及びません。私共は、丹厳たんげん様に、期待している、ただ、それだけの事ですから」


言って、宦官は、華蓮の部屋から出ていった。


「なんだったのでしょうか?」


「あれは、たしか……、秀英しゅうえいとかいう、宦官では?」


「相当な、美男でしたわね。いえ、それより、なんで?」


腹心三人組は、顔を見合わせる。


「どうして、丹厳様に、期待を寄せるのですか!!!」


インドクが、鬱陶しげに叫んだ。


「華蓮様!これで、何人目です?!頼んでもないのに、あちらの様子を報告に来る。しかも、口を揃えたように、丹厳様の為って!!」


「まあまあ、インドク、落ち着いて」


「……と、言われますけど、丹厳様を、と、言うなら、ご本人へお伝えすれば良いでしょう!」


「あー、それが、素材集めの為、宮殿を開けているんだよ」


と、聞き慣れた声が、戸口から流れてきた。皆が振り向くと、案の定、斉令さいれいが、戸口に体を預ける様にして、佇んでいる。


「このところ、あやつの動きが、激しくて、皆の、目に余っていてね、それでだろう。何せ、丹厳殿は、人気者だから」


「はあああーーー?!」


「おや、相変わらず、腹心三人組は、息ぴったり!」


「兄上!」


「おっと、ここにいるのが、あやつに、バレたら」


おお怖っと、身を縮ませ、斉令は、出て行った。


「それで、この所、静かだったのですね?」


「丹厳様が、いらっしゃらなかったから」


「で、なぜ、華蓮様が、伝言係に?」


ほんとほんと、と、腹心三人組は、どこか、不満げだった。


「確かに、なぜ、私?それもだけど、丹厳様って、人気があるのね。だって、相当数の報告受けているわよ?」


「華蓮様、確かに、そうですわね」


「それより、ここを開けているって、戻って来るんでしょうか?」


あーーーー!期日に間に合わなかった!って、事になりそうーーー!!


三人組は、叫びつつ、丹厳の人となりを思い浮かべるのだった。

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