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◯メルカリで人形を探した時の話1-1

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 去年の秋口のことです。勤めている市役所のクリスマスパーティーで、子供たち向けの短い劇をすることになりました。おとぎ話を下敷きにした30分程度の人形劇です。小道具を担当することになった僕はさっそく人形を探し始めたのですが、そこではたと困りました。  調べてみたところ人形劇の人形と一口に言ってもピンキリです。プロが使うような本格的なものもあれば、趣味で作ったようなチープものまであります。


「できるだけ安いので頼む」


 劇を主導している上司に相談してみたところそう言われました。


「たぶん今年だけだと思うから」


 そう話す彼の顔には疲れが浮かんでいます。きっと上層部の思いつきで今回の企画は生まれたんでしょう。彼の心労を考えると予算を増やしてくれとは言いづらく、そこで僕は、メルカリを使って人形を探してみることにしました。


必要なのは女の子と男の子が1体ずつ。あとはうさぎ、犬、ひよこ、カエル。合計7体です。


 検索 人形

 検索 パペット

 検索 腹話術 人形

 検索 人形安い

 検索 人形 訳あり

 検索 人形 女の子

 検索 人形 男の子

 検索 人形 動物 安い

 検索 パペット 子供向け 


 一例ですが、このようなワードで検索をかけていました。行き帰りの電車の中とか、昼食を食べた後とか、一日中と言ったら大袈裟ですが、隙を見つけてはメルカリを開いていたと思います。仕事中にできなかったのが辛いところです。僕のデスク、相談窓口から見えてしまいますから。やっぱりスマホをいじっているのって印象が良くないんです。


 メルカリというサービスは、直前に見た商品と同じカテゴリの商品をオススメしてくる、そんなアルゴリズムになっています。例えば直前に人形を調べていると、ホーム画面にも「人形」というカテゴリが表示され、上3つ、下3つ、合計6つの商品画像がひとかたまりとして出てきます。少しスクロールすると今度は類似商品ということで「パペット」というカテゴリ。同じく上3つ、下3つの計6つが出現します。なので、僕のホーム画面は日に日に人形の写真ばかりが表示されるようになりました。


 そんなある日のこと。一際目を引く写真がホーム画面にありました。それは、男の子の日本人形でした。坊主頭で着物を着た男の子。服は汚れていて頬は黒んでおり、瞳はエジプトの壁画のように真っ黒に塗りつぶされています。そしてその人形、なぜか口を大きく開けているんです。人形でそこまで開けているのを見たことないってくらい大きく。まるで歯医者で検査を受ける時みたいに、もしくは「あー」って大声を出しているみたいに。そしてなにより、その人形の写真、

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