厄介なお兄ちゃんや大嫌いな綾瀬川の問いかけよりも、加藤が告げたことが衝撃的すぎて、頭が真っ白になった。というか私を無視して、お兄ちゃんに告白したことについて、どうなんだろうって思うのはおかしくないよね。
「ちょっと加藤、そういう大事なことは、まず私に言うべきじゃないの?」
「言いたかったけど、今まで勇気が出せなくて言えなかった。でもこのタイミングを逃したら、この先ずっと言えないと思ったんだ。それで勝手に口を突いて出てしまったというか……」
恐々と頭をあげて、しょんぼりしながら私を見つめる加藤は、捨てられた子犬みたいだった。
「加藤――」
「強い斎藤を守れるように、これから頑張って努力する。お兄さんにも認められるくらい頑張るから、俺を意識してほしい!」
(これはまさに危機的状況! まっつー助けて! 私はどうすればいいの!?)
「お兄さん、これはもう妹さんを解放しなければならない時期にきたんだと思います。どうでしょう、加藤さんも努力するって言ってますし、お試し期間を設けてお付き合いをさせてみては」
なかなか進まない展開を目の当たりにした綾瀬川が、ふたたびフォローに入る。
「なるほど。お試し期間を設けて、薫と付き合ってもらうか。それはいいアイデアかもしれないな」
こうして私が付き合うの『つ』の言葉を言っていないのに、加藤とお試しでお付き合いすることが、お兄ちゃんによって決められてしまったのである。