快感に見悶える私とは裏腹に俊哉さんの口調は、余裕そのものだった。
私の顔を覗き込み、なにか悪だくみするいたずらっ子のように笑って、私をどんどん感じさせる。
ぎゅっと両目をつぶって、必死に快感をやり過ごす私をかわいそうに思ったのか、俊哉さんは素直に従ってくれた。
愛おしさを感じるその重みに、両腕で縋りつく。触れ合うところから伝わってくる俊哉さんのぬくもりが嬉しくて、微笑まずにはいられない。
「笑美、愛してる」
(俊哉さんのこの顔、私だけが見ることができるものなんだな。それってすごく嬉しい――)
「俊哉さん……」
「さて、ここからどうやって、笑美を感じさせようかな?」
楽しそうに訊ねられても、俊哉さんがすることのすべてに感じてしまうので、返事にすごく困った。
「あのぅ、ちょっとだけ休憩しませんか?」
「俺はしっかり休憩してるけど」
「私としてはこの状態では、まったく休憩になっていません」
「だったら、休憩できるような触れ方にしてあげる」
(あ~もう! どうしても触るって言うなら!)
「それじゃあ私も、俊哉さんの俊哉さんを触りますけど、それで休憩できるんですね?」
なんとかしなければと急いで考えついたことを、思いきって言い放ったら、俊哉さんの手の動きがピタリととまった。
「笑美が触りたいのならどうぞ! 俺の大事なところに触りたかったとは、全然思わなかった」
耳元でくすくす笑って私の手首を掴み、俊哉さんの腰骨に触れさせる。男らしい骨格をてのひらに感じた瞬間、思いっきり狼狽えてしまった。
「きゃっ!」
「笑美の触りたがってる俊哉さんの俊哉さんじゃないのに、どうしてそんな声を出すんだ? さぁさぁ遠慮せずに触っていいぞ!」
イジワルな彼氏の誘導に、まったくなす術がなかった私。俊哉さんの考える休憩と私の思う休憩の違いや、すべてにおいてスペックの高い俊哉さんが、それらを全力で私のために使うので、大体何でもやろうと思えば、ホイホイこなせてしまうことに、絶望というか諦めというか。
その後、私は楽しそうな俊哉さんの手によって、とろとろにされてしまったのだった。