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どこにでもありそうな昔ながらの古本屋。
その店内を奥へ進むと、やがてバラの咲き乱れる小さな中庭に出る。
バラの間を縫うように舗装された小さな道の先には古い日本家屋が建っており、その軒先の看板には達筆でこう書かれていた。
『魔法百貨堂』
そしてガラスの引き戸にはボロボロの紙片に、これまた綺麗な、けれど可愛らしい丸文字で『萬魔法承ります』と貼られていた。
引き戸を開けた先には如何にも古そうなカウンター、その後ろの大きな棚には怪しげな品々が所狭しと並べられている。
やがてパタパタと足音が聞こえ、店の奥へと続いているのであろう暖簾をくぐって現れたのは、一人の年老いた女性だった。