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第38話 3人の想い

 ミーシャが甘えてくるのを注意をした方が良いのか、悩むなぁ。これじゃ、恋人同士な関係になるんじゃないのか? うぅ〜ん……親がいないくて甘えられる人が居ないから仕方ないか。でも俺には、アリアがいるしなぁ。アリアが嫌がるなら、少し注意をした方が良いかもな。それと、ミーシャの気持ちを聞いてみるか。


「なぁ、ミーシャ……俺の事をどう思ってるんだ?」


「ん? どう思ってるって? なにぃ?」


「えっと……家族みたいとか、……恋人みたいとか?」


「両方っ! だいすきっ♡」



 そう堂々と宣言されると、嬉しいけど……注意がしづらいんですけど。しかも頬ずりをしないで……柔らかくて気持ち良いし、ミーシャからアップルパイ作りをしていた甘く良い匂いがしてくるし。



「そう言うけどな……結婚は出来ないだろ? アリアがいるしなぁ」


「……出来るよ! わたしが嫌いなのっ!? いやぁっ。聞きたくないっ。ユウちゃんの、ばかっ!」



 ミーシャが急に大声を出して、自分の部屋に戻っていってしまった。


 え? 出来る? 2人と、結婚が出来るってことか? 何が出来るんだ?


 アリアが、心配そうな表情をして隣りに座った。



「どうしたの? 珍しいね……ミーシャちゃんとケンカしたの?」


「あぁ……えっと、その……俺はアリアと結婚するつもりで……」


「わっ、わわわぁっ。なに? え? わ、わたしと結婚? あ、は、はい……するっ。します。お、お願いします……」



 二人で顔を真赤にして視線を逸らし、しばらく黙ってしまった。



「それで、ミーシャが甘えてくるのを注意をしたんだよ。結婚は、ムリだぞって……」


「それで……怒っちゃったのね。……でも、ミーシャちゃん良い子だし、わたしは好きよ? 一緒に暮らしても、良いと思うし。ユウくんが良ければ、結婚してあげれば良いと思うよ」



 ん? なにを言ってるんだ? 二人と結婚? それとも……アリアが気を使って、自分はいいからミーシャと結婚をしろっていってるのか?



「それって……どういう意味なんだ?」


「今まで通りに、3人で暮らそうって意味だけど?」


「2人と結婚できるのか??」


「普通は、1人としか結婚できないけど……。養える財力があれば、問題ないよ? ユウくんは、財力あるし大丈夫だと思うよ」



 アリアの言う通り、財力は問題ない。ダンジョンで膨大な財宝を手に入れてるし。財宝が無くても、魔石や素材を定期的にギルドに売れば、十分に貯蓄もできて暮らせるだけの収入はある。いざとなったら武器屋、道具屋をするのも面白そうだな。……え? ミーシャとも結婚できるのか!?



「え? 良いのか? それで?」


「う、うん。ミーシャちゃんだけ、仲間外れは可哀想だよ。ちょっと妬く事はあるけど……ミーシャちゃんの想いは、分かるもんっ。ユウくんの事が大好きなんだな〜って」



 ちょっと待ってくれ……。えっと……俺もミーシャが好きだけど、家族として好きだと思って接していたんだけど? 恋人として……? いや待て……ここで拒絶をして、ミーシャが出ていく事になって、他の男と付き合うのは嫌だ。ムリだ考えられない……この感情は、ヤキモチだよな。キスも……驚いたけど、嬉しかったし続けたかった気持ちもある。


「ユウくん、ミーシャちゃんと話してくれば? わたしはここで待ってるから」


「……うん。少し待ってて」



 そのまま向かうのは、気が引ける……ここは、勇気を出して……



「アリア……」



 隣に座るアリアの名前を呼び、振り返ったアリアの肩を掴み見つめ合った。大きな可愛い目をゆっくりと閉じ、顔を近づけ桃色のぷるんっとした唇を重ねた。


 アリアも俺の肩を掴み、俺の唇をちゅぅと吸い付き音を立てた。



「ユウくん、早く行ってあげて……わたしは、もう大丈夫だよ。幸せになっちゃったっ♡」



 それを聞いてアリアの手を掴み、手の甲にキスをしてミーシャの部屋に向かった。ノックしても返事は無かった。



「返事が無ければ、勝手に入るぞー」


「…………」


「入るなー?」



 勝手にドアを開け、久しぶりに入るミーシャの部屋で可愛い部屋で、ここも甘い良い香りがしていた。



「アリアと話をしたんだよ」


「……う、うん……嫌いなんでしょ……? 分かってるもんっ。ばかぁぁっ」



 布団に潜ったままで返事をしていて、表情は分からないけど、泣いてる声で返事をしているのは分かる。



「それで……俺は、決めたんだ。ミーシャが出ていって他の男と付き合うのは嫌だって、ヤキモチを妬いてるって思ってる事に気付いた。これって、好きって感情だよな?」


「……知らないよっ。そんな感情は、知らないもんっ」


「そうなのか? 俺が他の女の人と付き合うって、連れてきたら?」


「……はぁ? え? ダメ……ムリ! 怒る! だめっ!!」



 その言葉に反応して泣き顔をして、布団から怒って出てきた。


 あ、ヤキモチの経験が無くて、それに考えたことが無かっただけなのね。



「分かってくれた? ヤキモチ」


「分かんない!」


「村の男の子が、新しい女の子と仲良くしてるのを見ても、ふーんって思うくらいだろ?」


「うん。でも、ユウちゃんは……だめっ!」


「それは好きだから、ヤキモチだろ」


「あぁ……うん。そうかも……ユウちゃんも、わたしに?」


「そう。だから……結婚するか?」


「するっ! ぜったいに、するっ。ユウちゃん……だいすきっ……♡」

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