「ゆーちゃんっ。……ゆーちゃんっ! 起きてえ〜っ! もぉ。夜だよっ!」
うぅ……重い……あぁ……ミーシャか……まだ眠いんだけど……
目を閉じ半分眠っている状態で、無意識にミーシャがソファーから落ちないように腰に手を当てていると、唇に何かが触れてニュルッとした感触と温かさを感じてちゅぅと唇を吸われ飛び起きた。
「な、なにっ!?」
「やっと、おきたー! 夜だよ? また遊びに行くんじゃないの?」
頬を赤くしてニコニコと俺を見つめて嬉しそうにしているので、強く注意できない。それにネコ耳の美少女にキスをされて悪い気はしていない。
「あぁ。ユウくん、おはよっ!」
キッチンでアリアが夕食の準備をしていて、俺の声に反応して笑顔で話を掛けてきた。
アリアも知ってて放置してたのか? キスしてたんだぞ? 何なの、この状況は!? 朝の挨拶のつもりなのか? 昨日もだよな?
挨拶って言うわけでも無さそうで、ミーシャの頬が赤くさせ、恥ずかしそうにしていて俺と目が合うと逸らしていた。
アリアが注意をしなかったのは、俺が寝ていたのはソファーなので、アリアのいる位置からソファーの背もたれでミーシャが何をしているのか分からなかっただけかもしれない。
遊びに? ……ダンジョンの事か? ミーシャは恐がるというより楽しそうにしていたけど、随分と余裕そうだよな……聞いた難易度は超高難易度だぞ? Aランクの冒険者じゃ手に負えないらしいんだけど?
「遊びにって……どこに行くつもりなんだ?」
「ダンジョン! あそこ楽しかったっ♪」
あ、やっぱり……。あそこがミーシャの遊び場になるのか? ストレス発散には良いかもな? 滅多に人も来ないだろうし……
「アリアは、どうするんだ?」
「ん? なにが? え?」
話を急に振られた感じで、驚いた表情で返事を返して来て慌てていた。その様子は見ていて可愛いく、料理作りに集中をしていて話を聞いていなかったらしい。
「ミーシャがダンジョンに……遊びに行きたいって」
「あ、うん。わたしも行きたい! わたしも一緒に行くよ」
あの慎重なアリアも行きたいのか……。という事は、これからダンジョンかぁ。他のダンジョンの事は、知らないだろうから、同じダンジョンで良いだろ。
「ミーシャは、アリアの手伝いをしなくて良いのか?」
「えへへ……お手伝い終わったから来たのーっ♪」
ミーシャが褒めて欲しそうな表情をして、目をキラキラと輝かせて見つめてくる。
「そっか、そっか〜。偉いな」
俺の腹の上に乗っているミーシャを、抱き寄せて頭を撫でると嬉しそうな表情をして抱きしめ返してきた。寝起きで体が強張っていたのがミーシャで癒やされて解れ、心も癒やされる。
やっぱり可愛いのは、万能薬で心の癒やしにもなる。それと、可愛いは……正義だともいうしな。
そんな事を考えていると、ミーシャが俺の頬に頬ずりをして甘えていると、アリアが夕食が出来たと言ってきた。
「ご飯できたよ〜」
「はーいっ♪」
ミーシャが返事をする前に、頬ずりをし頬にキスをして返事をした。何事もなかったかのようにテーブルに着いた。
ん……あのキスは、どういう意味なんだか。
夕飯を食べ終わると、二人に以前にプレゼントをした異空間収納のバッグを用意し背負い、ピクニックか遊びに出掛けるような楽しみという表情をして待っている。
そんなにダンジョンが面白かったのか? まあ、ミーシャは急成長をして、面白いように討伐が出来るようになったし。それで戦闘が楽しかったというのは、理解できるけど。アリアは、ずっと魔力を……あ、そっか……でも、魔力を開放というか、全力でってダンジョンじゃムリだろ? それじゃ何が楽しいんだか。
「アリアは、何が楽しくてダンジョンなんだ? 戦闘が面白いとか?」
「え? なんだか本当にパーティなんだぁ。って思えるからかなっ」
なるほど。外で連携して討伐をしていなくて、みんな別々に戦ってるしなぁ。連携して倒すような敵はいなかったし。ダンジョンは狭くて戦いを見ていると、ついつい助けて連携をするから、それが嬉しかったのか。
転移でダンジョン内に入り結界を張り、魔物や魔獣たちが出入りが出来ないように塞いだ。暗い洞窟内なので、探索魔法、夜目を使い状況の把握をした。
魔物は、そこら中に昨日と変わらずに湧いてるなぁ。ダンジョンのマッピングしなくても把握が出来て便利だよな……
「今日は、こっちに行ってみるか」
「え? ユウくん分かるの? 昨日で覚えちゃったの?」
隠すか……正直に言うか……。アリアに隠してたら不便だし隠してるって分かれば嫌な思いをさせるか。
「頭の中に、地図が出来るてるような感じかな」
「なにそれ? すごい。じゃあ道に迷わなくて便利だね」
そう言うと二人が、俺の後に続いて歩き出した。しばらく討伐をしながら歩いていると……
「きゃぁっ」
初めて見る魔物である植物系の魔物が、太いツルを伸ばしアリアの足に絡まりついてきた。触手のようにウネウネと動き、獲物を探るような動きをしていた。触手を辿ると、明らかに植物だとは思えない口があり、さらに牙が並んでいて、肉食であることが分かる恐ろしい魔物だった。