聞いちゃダメな事だったかも……。悪い事を聞いちゃったな……
「そうなんだ……スゴイね」
「そういうユウくんも、同じ魔法を放ってるのを、見たことあるよ?」
あれって小さくするのが目的じゃなくて、魔力を圧縮して貫通力、破壊力を上げる為なんだけどなぁ……
アリアのは、別物で魔力を抑えて小さくして討伐が出来るギリギリの魔力で音も出さずに討伐ができる魔法で同じ様に見えて別物だ。魔物、魔獣の討伐というよりは、暗殺系の魔法になってる気がする。
「俺のは小さいけど音が出るし、貫通もしちゃうし別物だよ?」
「そうなんだ……すごーい!」
「いや。今回は、アリアの魔法の方がダンジョン向きじゃないかな」
今のを見てイメージが出来るから、もうアリアの魔法をつかえるようになったけど……それを使っちゃったら喜んでニコニコしているアリアがガッカリして可愛そうだ。
「えへへ……ガンバるー♪」
アリアとの気不味さが消えて、いつもの元気な表情と返事を返してきた。今回はアリアの活躍で、ダンジョンの入口付近の魔獣を音もなく討伐が出来た。そのお陰で魔物や魔獣が集まらずに済んだ。
「アリアちゃん、ずるーい……わたしも〜」
ミーシャが、アリアだけ褒められて文句を言いだした。ここでミーシャが出て魔獣を討伐をしてしまったら、騒ぎを聞きつけた魔獣が寄ってきて面倒な事になってしまう。
ダンジョンに入れたとしても前後に魔獣に囲まれると退路が断たれ逃げ道が失われる……普通は。
「ミーシャが出ると、ダンジョンの周りにいる魔獣が音で寄ってくるから待ってて。ダンジョンに入ったら入口に結界を張って、遮音と入れないようにするから」
「はぁい」
草むらに3人で潜み様子を見て、音を立てずにダンジョンに入って結界を張った。
「ふぅ〜。やっと入れたなー」
「ドキドキ……しちゃったぁ」
「アリアちゃん、かっこよかったぁー♪ ぱしゅー ぱしゅーって♪」
「えへへ……ありがとぉ♪」
多分、これで後ろから挟まれて不意討ちを受けないと思うけど、隠れ潜んでいる魔物や魔獣がいるかもしれないから気を付けないとなぁ……
ん……ッ! ふわぁっとした、この感触……危ないっ! とっさに地面にバリアを張り、探索魔法で辺りを探ってみると落とし穴になっていた。地底の空間に、ウジャウジャと魔物や魔獣の反応があった。はぁ? また、こんな所にも落とし穴? ダンジョンのトラップで、一般的な罠なのかな? 聞いたこと無いけどな……
危ないので、ウジャウジャといた魔獣と魔物の魔石を回収をして討伐をしておいた。大量の魔物と魔獣を討伐をすると、再び勢いよくレベルが上ったと、通知音が頭の中でウルサイ。最近は、討伐してもレベルが上がらなかったのに……何で急に? 別にレベルには、興味が無いので放っておいた。
さっそく覚えた夜目を使うと、暗闇の中が昼間のように見え3人でダンジョンを進んでいく。
「アリア、夜目を使ってるか?」
「う、うん……使ってるよぉ……」
「ん? 大丈夫?」
俺の服を掴み、少し震えてるっぽいけど? 自信満々だったのに?
「ん……大丈夫ぅ……。想像違って……迫力あるっていうか、夜で暗い中と違ってコワイね」
「だろー? オバケが出そうだろー」
「ばかぁ……。うぅ……こわいー」
ミーシャじゃなくて、アリアの方が恐がっていた。そういえばミーシャと手を繋いでって話をしてたけど……。ミーシャは、コワくは無さそうだな……
「ミーシャ、俺より前に出るなよ」
「なんでー?」
「さっき、落とし穴があったからさ」
「あはは……♪ 落とし穴って、子供っぽいー」
ミーシャが、落とし穴をバカにして笑っていたので、強さを伝えておかないと……危ない。
「落ちたら下に魔物がウジャウジャいて、出てこれなくなるぞ?」
「えっ!? それイヤっ! ユウちゃんと、ずっといたいー! お別れはイヤっっ!」
笑ってバカにしていてたミーシャが、真剣な表情になっていた。まぁ……落ちたら即、転移で助けるけどさ。それに……魔物や魔獣が、コワイとかの反応じゃないのか。恐れているのは、俺と離れること……か、それは嬉しい。
やっぱり分かれ道が、いっぱいあるんだな。探索魔法が無かったら無理じゃないか? 完全に迷路仕様でトラップが、そこら中に仕掛けてある。
普通は、紙に地図を書いてマッピングして攻略していくのか? 大変だなぁ……そりゃ……上級冒険者じゃないとキツイな。トラップに気を付けて、更に闘いながらだしなぁ……。人数もいなきゃ、これはキツイな。パーティを組む理由が分かったし、役割分担の必要性を感じるなぁ。
落とし穴トラップは、探索魔法で回避できる。他には武器を使った弓矢とか? 魔石を使ったファイアとか……宝箱をとかを餌に閉じ込められるとか? 入口に戻されるとか? 考えられるトラップは、問題は無さそうだな……
わざと行き止まりの道を選び、宝箱がありそうな部屋を探索魔法で見つけたので、俺だけ入ってみる事にした。
「なんかさ、宝箱がありそうなんだけど」
「……それ、罠じゃないかなぁ」
「宝箱っ!? 欲しいー」
「だからね……罠だと思うよ」
「むぅ……宝箱だよー? お金持ちになれるよー?」
「宝箱だったらね……」
俺は宝箱よりも、罠の方に興味があるんだけど……。狩りとかにも使えそうだし、知識として面白いじゃん。
「お。あった! この部屋だ……」
部屋といってもドアがあるわけではなく、部屋のようになっている洞窟の大きな窪みなだけだ。
「ホントだー! あったぁ!」
「ねぇ……。あれ宝箱だよー」
「俺だけ入るから、危険だから付いてくるなよ」
「ずるーい! ユウちゃん……独り占めするんでしょー」
ミーシャがムスッとした表情で、文句を言い始めた。するとアリアも、ムスッとした表情をしてミーシャ見つめた。