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第21話 幸せの3時のおやつの時間

「ユウくんは、いつも魔力弾を使ってるよね? 他の魔法も使えるし得意だよね?」


「魔力弾って、魔法の基礎っぽくない? 単純に少量の魔力を圧縮して放つだけだしさ。練習かなぁ……。いつもは、ファイアショットだけどさ……家の近くだし、火事になると困るしさ」


「えっ!? ユウくんが基礎を勉強してるの? どれだけ強くなろうとしてるのぉ〜」



 アリアが驚いた表情をした。俺が練習をしている光景でも想像をしたのか、笑い出した。



「そういうアリアも、魔力弾を使ってるじゃん?」


「それは……ユウくんが使ってるから、真似をしてただけだよぉー?」



 アリアが、モジモジして言ってきた。真似って……なんか可愛いし嬉しいな。



「てっきりアリアも、魔法の練習をしてるのかなって思ってたよ」


「えへへ……バラさなきゃ良かったぁ……」


「ねぇーねぇー。わたしは、役に立ってるー?」



 ミーシャが話に割り込んできた。今日は、ほとんど一人で討伐をしていて2日目だ。まだ、ちょっと危なっかしいけど問題無さそうだ。素直に言う事を聞くし、実際に役に立ってる。



「すごい役に立ってるって! でも無理するなよー。それと、疲れたら休憩を取れよ?」


「はぁい♪」



 嬉しそうにモグモグと食べだした。


 昼食を食べ終わると、アリアは早速お菓子作りを始めてた。俺は、ミーシャのボロボロの靴を修理をすることにした。



「ミーシャ、おいで~」


「はぁーい♪」



 俺は、ソファーに座りミーシャを呼んだ。

 アリアの手伝いをしようとしていたミーシャが、嬉しそうに駆け寄ってきた。俺の膝の上に座ると甘えてくるので、つい頭を撫でた。俺も癒されて、目的を忘れそうになっていた。


 そうだ! 靴を直すんだった。


 俺が靴を脱がそうとすると、ミーシャが頬を赤くした。



「わぁっ。汚いよーだめぇっ」


「靴を修理しないとケガするよ」


「だってぇ……臭いよぉ」


「気になるなら……洗浄魔法でキレイにするから」


「うん♪ お願いー」



 ミーシャの靴を脱がせると、気持ち良さそうにしていた。ソファーに寝転がり、俺の膝枕で寛いで足をバタバタさせていた。


 脱がせた靴は、革で出来ていて靴底に薄い木が板が入っているだけだった。それを収納をして、魔改造する事にした。


 さて……先ずは革の部分を、交換をすることにするか。素材は、大量に回収してあるので問題ない。魔獣から素材を回収していて種類も数も大量にある。その中から丈夫で柔らかい素材を選び、交換をして耐久性、通気性、防水性を付与しておいた。

 インソールには柔らかい革を敷いて、靴底には固く分厚い革に滑り止め、耐久性、柔軟性、クッション性の付与をした。


 これで地面が砂利でも痛く無くなるだろうし、急に方向転換しても滑らなくなって、加速もしやすくなるんじゃないかな。



「出来たぞー」


「うわぁ……! 新品だぁー♪ ありがと♪」



 嬉しそうに抱きかかえて、ニコニコして履こうとしない。



「履かないのか? 履き心地を聞きたいんだけど?」


「えぇ……勿体ないー」



 まぁ……急ぎじゃないし、調整は簡単に出来るし良いか。喜んでるみたいで俺も嬉しいし……。頭を撫でて幸せで平和な時間を過ごした。



「そろそろ、おやつの時間だよー」



 さっきから甘くて良い匂いが漂っていた。ミーシャがソワソワしてチラチラとアリアの方を気にしていた。



「おやつー♪」



 テーブルに運ばれてきたのは、焼き立てのアップルパイで、この世界に来て始めて見る洋菓子だ。


 懐かしいな……良くこんな物を作れたな。



「すごいなー。どこで覚えたんだ?」


「えへへ……ママが、たまーに作ってくれたんだー」



 うん。やっぱりお金持ちじゃん……砂糖を大量に使うお菓子だし。


 目をキラキラさせて見つめて、今にもアップルパイに飛び掛かりそうなミーシャを押さえていた。



「ねぇー。はやくー食べよー!」



 アリアがミーシャを見て、微笑みながらアップルパイを切り分け、お皿に取り分けミーシャの前に出した。ミーシャが振り返り俺を見てきた。その表情は可愛い子犬が、大好物を出されて、待てと言われているような……ネコ耳だけど。



「食べて良いー?」


「俺にじゃなくて、作ってくれたアリアに聞いてー」



 俺に聞かれても困る。俺もアリアの方を向いた。



「どうぞー。熱いから気を付けてね♪」


「はぁーい♪」


「美味しく出来たかなぁー?」



 ミーシャは、美味しそうに味わって食べていた。



「美味しいーっ♪ ほっぺがとろけちゃうー♡」


「わぁーい♪ 美味しく出来たみたいだよー。ユウくんも食べてー」



 そう言われてもミーシャが膝の上に座ってるし……



「ミーシャちゃん、ユウくんに座ってたらユウくんが食べられないよー」


「わっ。ごめんなさいー」



 そりゃ……こんな美味しそうな匂いがしてて、美味しそうな物を目の前に出されたら周りが見えなくもなるよな。



「良いって。そんな泣きそうな顔をするなよ。甘い物って始めてじゃないのか?」


「甘い物はねー。山で採れた果物とかー」


「だよなー。俺もだ」


「そーなんだー。一緒だねっ♪ ユウちゃんも一緒に食べよー♪」


 ミーシャが隣に移動して、美味しそうなアップルパイを食べると懐かしい味がしてミーシャが言う通りに、ほっぺたが落ちる感じだ。



「アリアは、すごいなー。これ美味しいっ」


「うれしいっ! ホントー?」


「アリアも食べてみろって!」



 アリアは、俺達の反応が気になって食べずに俺達の方を心配そうな顔でジッと見ていた。ホッとして、アリアも食べ始めた。



「美味いだろー?」


「ユウちゃんが、作ったみたいな言い方してるー」


「うふふっ♪ 美味しく出来て良かったぁ……」



 食べ終わると、ミーシャが後片付けをしてくれた。俺は、アリアの魔術士の杖を作る事にした。


 アリアは、今まで手ぶらで武器は持っていなかった。必要性が無かったし、正規の冒険者では無かったからだ。武器は、高価な物で武器を持つには少し早い。



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