「それにしてもトーナ殿はとても理知的な
「そ、そうでしょうか?」
トーナ殿の説明から、彼女の知性と理性を感じる。
だから、心から彼女が素晴らしい女性だと思った。
その思いを俺はそのまま言葉にしたのだが、どうも褒め言葉に慣れていないらしい。称賛する度にトーナ殿は顔を赤らめておたおたとする。
だが、その姿は何だかとても愛らしい。
一見すると、トーナ殿はその美貌から冷徹な印象を受ける。それに、黒い髪と赤い瞳は神秘的だが、逆に近寄り難い雰囲気を醸し出していた。
更に、彼女の怜悧で物静かな態度が拍車をかけているのだろう。
ところが、彼女は決して感情の乏しい女性ではなく、今のように褒められて狼狽える姿はとても可愛らしいのだ。
あまりの可愛さに俺のいたずら心が疼いてしまった。
「ええ、それに白い肌も
「――ッ!?」
だから、ついついトーナ殿を
落ち着いた雰囲気のトーナ殿が、俺の賛辞に動揺を隠せない様子は本当に可愛い。
美しかった彼女が急に愛らしく変貌する様子は俺の心をぎゅっと掴んで離さない。
トーナ殿は称賛され慣れていない様子だ。きっと、彼女のこんな姿を知る者は俺だけに違いない。
好意を向ける女性の可愛い一面を独占できるのかと思えば、男なら誰でも同じ行為に走るというものだ。
「美しいだけではなく、何もかも呑み込みそうな漆黒の髪と全てを見透かしそうな赤い瞳は神秘的で俺が今まで出会ったどの女性よりも魅力的です」
「ハ、ハル様、も、もうそれくらいで……」
消え入りそうな声のトーナ殿は、はにかんで
俺だけが本当の彼女を知っている優越感。
その想いが俺をいっそう舞い上がらせた。
俺の言葉でもっと恥じらって欲しい。
俺に隠れた部分を曝け出して欲しい。
俺だけに……俺だけに……もっとあなたを教えてくれ。
「そうやって恥じらう姿は可愛くて思わず愛でたくなりますが……」
「か、
恥ずかしさに赤面しながらむっと怒った表情もまた可愛いらしい。
ああ、そんな可愛い顔は俺にだけ見せて欲しい。
俺はどうしようもない程にトーナ殿への独占欲に塗れてしまっていた。
「俺は今まで女性を褒める様な真似はした事がありませんよ」
これに偽りはない。
「本当ですか?」
トーナ殿は疑いの目を向けるが、これだけ口説く様な真似をしているのだから無理もないか。
清廉そうなトーナ殿は俺を軽薄な男と思っているかもしれない。
だが、それでも俺は彼女を褒めちぎる行為を止められなかった。
トーナ殿への溢れ出す想いに蓋はできない。いや、しようとも思わなかった。
それ程に……どんなに分かっていても抑えきれない程に……俺はトーナ殿への恋に狂ってしまっていた……