キラーラビットの体に斬撃が当たると、緑の血しぶきが返り血のように舞い上がる。
その攻撃に驚いたキラーラビットたちは慌てふためくが、そこにユキは追撃を繰り出す。
剣からは氷の魔法が付与され、与えた斬撃はキラーラビットを凍らせていく。
《氷剣レベル1》
ユキの斬撃は次々にキラーラビットたちを斬り伏せていき、数をどんどん減らしていった。
「これでおしまいよ」
そう言ってユキは剣先に魔力を込める。
そこから氷の斬撃は放たれて、残り少ないキラーラビットたちは瞬く間に倒されてしまった。
「あ、あっという間に倒しちゃった」
「流石だな」
俺とリサが呆然としながら声を上げる。
氷剣は氷魔法の属性を付与させることが出来るので、普通の武器より数倍強い攻撃を放つことが出来る。
「まあ一応A級探索者だし、これぐらい当然よ」
「これは頼りになるな」
俺がそう言うと、ユキはにっこりと笑顔で笑う。
仮面を付けているが、俺に対して笑いかけているのはなんとなくだが分かった。
最初は寡黙だったが、話していくうちにユキのことが少しずつだが分かってきた気がする。
「よし! この調子でどんどんと奥に進んでいこう!」
そう言ってリサは気合いを入れるように声を上げる。
俺らもそれに頷き、ダンジョンの奥へと進もうとした時だった。
突如地響きが起こる。
俺たちはバランスを崩しそうになったが、なんとか転ばずに済むことが出来た。
「ガァァァァァァァァァ」
前方から大きな叫び声がダンジョン内に響き渡る。
「な、なに!?」
リサは驚いた様子で声を上げる。
俺らも前方の方に目を向けるが何も見えない。
だが地面が揺れ続けていることだけは把握することが出来た。
「もしかして、変異モンスター!?」
ユキがそう呟いた瞬間。
地響きが止むと、前方から何か巨大な生物がのしのしとこちらに向かってきた。
体長は3メートル以上。
トレントのような見た目で腕は2本ある。
肌の色は茶色く、まるで人をそのまま巨大化させたような体型だった。
「変異モンスターって何!?」
「ダンジョンにいる通常のモンスターが突然変異したことよ、普通のモンスターより強いし、攻撃パターンも変わってくるから注意して」
そうユキが説明してくれた。
どうやらこのモンスターはトレントの変異モンスター。
俺たちの前に姿を見せた初の変異モンスターは、興奮しているのか荒々しい息を漏らしながら大きな咆哮を上げている。