優馬への次の課題として、多少の知性を持った敵を用意することにした。
単純な力押しでは勝てない敵に、どうやって対応するか。それが見たくて。
実際にCランクダンジョンに挑んだ優馬は、苦戦しているよう。
追い詰められている雰囲気はないけれど、それでもいつもより気を配って会話していた。
「今回はダンジョンを攻略できなかったよ。まあ、今までが順調すぎただけだよね」
「そう思うよ。急いだりしないでね。私にとっては、優馬君が無事でいることが大事なんだから」
「ありがとう。僕も、愛梨が無事で居てくれるのなら十分だからね。無理はしないよ」
「お願い。優馬君、つらいことがあったら、何でも言ってくれて良いからね」
優馬が活躍するようになってから、皮肉っぽいことを言いたくはならなくなっていた。
だけど、その程度じゃ足りない。うっかり言葉を間違えれば、ひどく傷つくだろう。そんな気がしていた。
優馬は根本的には弱い人間なんだ。よく知っている。
それでも、大切な人のために勇気を振り絞っているだけ。
だからこそ、弱っているところを追い込むなんてことはできない。
心が傷ついて、死に急いでしまうかもしれないから。
私は優馬を活躍させたいのであって、苦しめたい訳じゃない。
もっと言えば、優馬には幸せになってほしい。
私にとっては、優馬は想い人。そうでなくても、大切な幼馴染なんだから。
そんな相手を、命がけのダンジョンに送り込んでいる訳なんだけどね。
「大丈夫だよ。今は攻略が遅れているけど、全くダメではないからね」
「なら、良いけど。優馬君は、必ず私の所に帰ってくること。約束だよ」
「もちろんだよ。誰に言われるまでもなく、当たり前のことだよ」
優馬が私を居場所と感じてくれている。とても嬉しい。
彼の優しさも、思いやりも、強さも弱さも。心の全部は私のものなんだ。
だから、安心して待つことができる。
私のためだけに、必ず生きて帰ってきてくれるから。
「ありがとう。優馬君、また明日も明後日も、いつだって待っているから」
「うん。愛梨のそばだけが、僕の帰るべき場所だよ」
うんうん。私の想いは絶対に届く。
そう思えるから、心が軽い。優馬の声も顔も、私を愛おしいと全力で表現しているから。
優馬を好きになって良かった。今、こんなにも幸せだから。
私はずっと、彼のような人に出会いたかったんだと思う。
前世でも求めていたヒーローだったからね。
まあ、恋をしたのはきっと、女の体だからだけれど。
男を好きになることに、違和感はないのか。
そう聞かれたとしても、問題ないと返せるよ。
私が好きなのは、私を好きでいてくれる優馬だから。
ずっと私の幸せを望んでくれる人だから。
そんな感じで、落ち着いた気持ちで優馬をダンジョンに送り出す日々。
だけど、少しだけ気になっていることがあった。
優馬が毎日挨拶をしている相手。金髪に染めた、私とは対称的な女。
なんとなく、嫌な予感がしていた。私の邪魔になる人じゃないかって。
だけど、いま攻略しているダンジョンにいる間だけの関係だから。そう、自分に言い聞かせていた。
「こんにちはっ。今日もダンジョンですか?」
「そうですね。頑張っていきたいと思います」
「ご無理はなさらず。あなたが死んでしまったら、私は悲しいですっ」
「ありがとうございます。帰りを待ってくれる人もいるので、死んでられませんよ」
「なら、その人を悲しませないようにしないといけませんね。応援してますねっ」
こんな会話をしていて、ただの挨拶程度なのに、優馬の顔はほころんでいたから。
恋をしている訳ではない。理性がそう告げていたけれど、感情は収まらなかった。
私の、私だけの優馬の視界に、他の女が入っている。
苦しくて、胸が張り裂けそうだった。これまで、誰も気にしていなかったのに。優馬も私も。
ただ、私と優馬だけの世界があった。だけど、他の人が侵入してくるかもしれない。
そんな危機感に襲われて、心に澱のようなものが溜まっていく感覚があった。
私の感情を置き去りにしながら、優馬はダンジョンへと向かっていく。
何度も挑み続けて、それでも苦戦しているCランクダンジョンに。
優馬を応援する心は本物だったはず。
だけど、他の不純物が入っているような気もしていた。
あの女から、できるだけすぐに遠ざかってほしい。そんな祈りも込めていたのかもしれない。
私にとって、何よりも大切な優馬。彼が遠くに行ってしまうような予感がして。
優馬がダンジョンに入っていくと、モンスターの姿が見当たらなかった。
他の女のことを考えすぎて、ダンジョンの調整を忘れていた。
だけど、今さら急にモンスターを発生させるのもおかしい。
そう考えて、とりあえず様子をうかがうことにした。
すると、よく分からない男が優馬を待ち伏せしている様子。
殺すか? そう考えていたが、まだ何の罪も犯していない。
わざわざ他人を攻撃するのなら、相応の理由が欲しかった。
何の理由もなく他人を殺すほど、堕ちてしまいたくなかった。
分かっている。ダンジョンという災害を起こしておいて、どの口がという話だ。
それでも、遊真の隣に居ていいと思える線だけは、越えたくなかった。
優馬の前に立った男は、ゆっくりと話しかけていく。
何か、言い聞かせたいことがあるかのように。その内容は、分からないけれど。
「君は、これからもダンジョンを攻略するつもりなのかい?」
「そうですね。必要なことですから。僕がやらなきゃいけないんです」
「笹木優馬君。君は大変優秀だ。疑いようはないよ。私が集めた情報だけでも、誰よりもダンジョン攻略をこなせていると思う」
私の優馬だから、当たり前だ。誰よりも最高のヒーローなんだ。
全然ひいきしなくても、勝手にダンジョンを攻略していくくらいには。
心も、技術も、何もかも。
目を焼かれそうな煌きがあって、あまりのまぶしさに負けてしまいそうなくらい。
「ありがとうございます。思っていたよりは順調ですね」
なんだかんだで、優馬は自分に自信がない。
きっと、全くうまくいかないことも想像していたはずだ。
だけど、私との日常を守るために前だけを見ている。
その姿勢こそが、私の求める勇気だよ。
やっぱり、自信にあふれていて、とても勇敢な人は私の好みじゃない。
優馬みたいに、心の弱さを抱えたまま頑張る人こそが好きだ。
私が優馬と出会ったのは、間違いなく運命だよ。
だって、求めているヒーローそのままなんだもん。
そんな優馬ではあるけれど、今回の敵にはどうするかな。
できれば、あまり殺すという選択はしてほしくない。
私と同じ所まで堕ちてこないでほしい。
それは、確かな本音ではあるから。今の顔を見る限り、できれば協力したいのだろうけど。
「だけど、君の冒険はここまでだ。どうしても先に進みたければ、私を倒してからにしてくれ」
どういう意味なんだろうな。優馬を傷つけるつもりなら、別の言い方もあるはず。
なんというか、止めたい? 理由は分からないけど、なんとなく感じた。
顔だけを見て判断するのは危険だけど、優馬に対する敵意は感じない。
どちらかというと、心配のようなものが見える。
ああ、分かったかもしれない。優馬は弱そうだもんね。頼りないもんね。
それは、戦いに向いていないと思うよね。でも、余計なお世話なんだよ。
「それは、殺し合いをしようという話ですか?」
「違う! 私は人を殺すつもりなどない。ましてや、君のような子供を」
本音に見える。君のような子供を、ね。
子供が戦うのが嫌だから、ここで諦めさせたい。そんなところかな。
まあ、一般的な感性で言えば、優しくはあるのだろう。
だけど、邪魔だとしか言えない。優馬が戦うためのダンジョンなんだから。
この男はどうすべきだろう。まだ判断がつかない。
わざわざ殺すほどではないと思う。だけど、それだけだ。
まあ、少なくとも優馬との戦いが終わってからで良いか。
殺すつもりはないのは見て取れるから。
「なら、すぐに始めますか?」
「そうだね。邪魔になりそうなモンスターは排除した。君には、ここで諦めてもらうよ」
なるほどね。万が一にも、モンスターに優馬を殺させたくないんだろう。
確かに、念入りにモンスターが殺し尽くされている。
なら、今のところはモンスターを出現させないでおくか。
この二人の戦いがどうなるのか、少し興味があるから。
負けたところで優馬は諦めない。だから、何も問題はない。
どっちが勝ったところで、悪くて多少遠回りをするだけのことだ。
優馬は覚悟を決めた顔をして、男に向き合っていく。
やっぱり、今みたいな優馬が一番カッコいいよ。
「行きますよ!」
優馬が敵と戦おうとすると、男はすぐに逃げていく。
そのまま、男は物陰で優馬を待つ。
なるほどね。いい相手と戦ってくれている。
こういう、卑怯とも言って良い戦い方は、優馬は経験してこなかったからね。
Cランクダンジョン、Bランクダンジョンと進めていく上で、今回の戦いはきっと大きな力になる。
いつか優馬にSランクダンジョンを攻略してもらうためにも、ちょうどいい。
なら、今後も続く関係になってくれれば良い。この男次第ではあるけれど。
優馬にとって必要なものは、悪辣さだからね。
いくらなんでも、今の優馬は素直すぎる。
もっと悪い手段を思いつくのなら、もっと素敵になれるよ。
私は優馬を信じているからね。どんな手段を手に入れても、根っこの善良さは変わらないって。
きっと、私を助けるためだけに、あらゆる手段を使ってくれるから。
戦いの方では、私の想像通りに男は不意打ちした。
曲がり角を通ろうとした優馬に、物陰から剣が襲いかかる。
優馬が避けたのを確認して、敵はまた逃げていく。優馬も追いかける。
「殺すつもりですか! なら、逃がしませんよ!」
「Cランクダンジョンに入れる人間が、さっきの一撃で死にやしないよ!」
優馬よりも、ダンジョンに入った人間の耐久性を理解できているみたいだ。
仮にさっきの攻撃が当たったとしても、せいぜいアザができる程度だ。
その観点でも、今の敵はちょうど良いな。
優馬はヒーローだけあって、運が良いのだろう。
必要なタイミングで、必要な技能を覚えられる敵に出会う。
これまでは、私が調整してきたけれど。今は偶然だからね。
間違いなく、優馬は運命に愛されている。
彼の活躍を、世界が望んでいるかのようですらある。
私の選んだヒーローは、本当に主人公と言っていい存在なんだ。
改めて、心に恋慕と興奮が湧き上がってくる。
頬が熱いし、胸がドキドキする。
私の想い人は、誰よりも最高なんだ。その感情だけに、支配されそうになる。
でも、まだダメ。いつか優馬と結ばれるときまで。
私の心が優馬で埋め尽くされるのは、ハッピーエンドの後でいい。
優馬は敵に翻弄されて、うまく活躍できていない。
だけど、そんな姿すらも愛おしい。これからの成長を見られるのだと思うと。
「鬱陶しい奴め、逃がさないぞ!」
なんて優馬は叫んでいたから、頭に血が上ったのかと思った。
だけど、違った。全力で敵を追いかけていない。
その上、わざと足音を大きくしているのだから。
まだつたないとはいえ、策を考えだしたんだ。
優馬の成長は、自分のことのように嬉しい。
私が見たかったのは、今みたいな光景だよね。
苦戦しながらも、勝ちに向かって進んでいく。
そんな姿を見られる幸福は、私だけのもの。
いま戦っている敵だって、優馬の本当の価値は理解できないはずだ。
臆病で、頼りなくて、情けない。そんな姿を知っている私だからこそ、優馬の魅力が分かるんだから。
優馬の策はハマったとは言い切れなくて、結局力押しのような形で勝った。
単純な戦闘技能なら、間違いなく男のほうが上だった。
だけど、だからこそ優馬は伸びていくんだ。
今の戦いを反省して、糧にして。私のためだけに。
そんな優馬も良いけれど、さっきまで敵だった男に手を差し伸べている姿も良い。
お人好しさが全面に出ているよね。それでも、私が危険な状況なら、私以外を捨ててくれるんだから。
「大丈夫ですか?」
「ああ。君の力は、私を遥かに超えている。このまま戦ったところで、勝てないだろうな」
「なら、僕がダンジョンに挑むことを認めてくれますか? 邪魔さえしないのなら、認める必要もありませんが」
「悔しいが、そのつもりだ。君のような子供に、戦わせたくはなかったのにな。同じCランクダンジョンに挑んでいるのに、私の成長は頭打ちなんだ。それでも、大人である私が戦いたかったのに」
予想通りの動機ではある。だけど、成長が頭打ちとはどういう事だろうか。
私は優馬をひいきしてはいるけれど。だからといって、優馬以外に攻略できないものではない。
Sランクダンジョンは、優馬だけにしか攻略させるつもりはない。
それでも、他のダンジョンを攻略するライバルは必要だって思っていたんだけど。
何か失敗してしまったのだろうか。分からない。
でも、優馬に問題がないのなら、気にすべきことではないかな。
「気遣ってくれたんですね。ありがとうございます。でも、僕は大丈夫です」
「ああ。私よりも、よほど見込みがあるだろう。でも、私も協力するよ。この街の警察署に来てくれれば、装備を融通する」
なるほどね。一応、政府の対応は調べていた。
その中で得た情報には、確かにダンジョン攻略者に装備を支給する計画があった。
当たり前ではあるよね。スタンピードがある限り、ダンジョンは大きな災害のもとだ。
攻略できるのなら、それが最善だと考えるのは普通のこと。
ちょうど良いな。優馬にだって武器は必要だと考えていた。
それが、わざわざ装備を与えてくれる存在と出会うなんてね。
「警察官なんですか? それでも、武器なんて持てるものなんですか?」
「私は特別ではあるが、スタンピード対策だよ。最低限、市民を守る手段を構築するためだった」
特別ね。後で調べておいた方が良いかも。
優馬に害をなさないのなら、どうでもいいんだけどね。
とはいえ、面倒な思惑に優馬が巻き込まれちゃったらね。
一応、最低限の情報は集めておいた方が良いかな。
「そうなんですね。なら、あなたも市民を守るために?」
「ああ。だが、限界が見えてしまった。だから、君に託すよ。今回の戦いで、私の装備の有用性は理解できたと思う」
「そうですね。モンスターにも通じたんですか?」
「その通りだ。理解してくれるのなら、話は早い。今後の君の戦いで、役立ってくれるだろう」
優馬が便利な道具を手に入れたら、もっと活躍が見られるよね。嬉しい。
やっぱり、優馬のカッコいい姿はいくらでも見ていたいから。
いずれ、全てのダンジョンを攻略してしまう瞬間を惜しいと感じてしまうくらいだ。
私の望みは、優馬のヒーローとしての姿を見ること。その後、遊真と結ばれること。
同時に両方が叶えられないことが、悲しくもある。
だけど、私の幸せにはいろんな色があるということでもあるからね。
「分かりました。警察署に向かえば良いんですね。明日、行きますね。誰が取り次いでくれますか?」
「ああ、すまない。名乗っていなかったな。
加藤拓人か。偽名かもしれないけれど、調査しておくか。
優馬に無理難題を押し付けるようなら、消えてもらうために。
だけど、焦って殺したりはしない。
大きなウソがなければ、きっと優馬の力になってくれる人だから。
私以外にも、優馬を支えてくれる人は居た方がいい。
依存してくれることは心地良いけれど、私と仲違いした時に相談できる相手くらいはね。
もちろん、優馬とケンカしたい訳ではない。
だけど、人間関係に絶対はないからね。ちょっと心が離れても、いつか仲直りできるように。
「分かりました。知っていると思いますが、僕は笹木優馬です。よろしくお願いしますね」
「ああ、よろしく頼むよ。不甲斐ない大人で済まないが、君しか居ないんだ」
優馬の輝きは、加藤とやらにも通じたらしい。
やっぱり、私の優馬は最高だよね。分かるよ。
誰かにダンジョン攻略を任せるのなら、優馬しか居ないよ。
慎重だけど、いざという時には危険に飛び込める人だからね。
私の幼馴染で、本当に良かった。
きっと、出会えなければ、私は人生に絶望していたから。
優馬のカッコいい姿を見ていることだけが、私の生きる理由だから。
私の望みも、願いも、優馬が居てこそのものだから。
「分かりました。今日は帰りますけど、加藤さんはどうしますか?」
「私も戻るとしよう。報告しないといけないことがあるのでな」
優馬が帰ってくる前に、食事の準備をして。いつも通りに食べてもらって。
それから、加藤拓人をチート能力で調べていた。
どうにも、ダンジョン攻略を任される立ち位置だったらしい。
そこで、いま一番ダンジョンを進めている優馬に目をつけたんだとか。
本当は、優馬に活躍してほしいというのが、彼の上司の考えだった。
だけど、子供に命をかけさせる自分が許せなかった。そういうことらしい。
まあ、どうでもいいことだ。理由がハッキリした以上、敵対の可能性は考えなくて良い。
問題があるとすれば、優馬に無茶なダンジョン攻略をさせないか。
だけど、加藤が優馬を担当しているうちは大丈夫だと思う。
その程度には、子供を大切に思っているようだったから。
なら、優馬にとって頼れる大人のポジションで居てもらおう。
そうした方が、きっとお互いのためになる。
優馬は装備や相談相手を手に入れる。
加藤はダンジョン攻略の協力ができる。優馬が無理をしないかも見守れる。ちょうど良いよね。
次の日、優馬は加藤から装備を渡されてからダンジョンへと向かっていた。
いろいろと貰っていて、金も取られないという大盤振る舞い。
加藤はよほど優馬に期待しているのだろうな。間違っていないよ。
私にとって、唯一にして最高のヒーローだから。誰よりも素敵な人だから。
ただ、気になることもあった。金髪の女だ。
「あ、装備を変えたんですね。なら、前よりも安全そうですか?」
「そうですね。だいぶ楽ができると思います」
「なら、安心ですね。今日も頑張ってくださいっ」
優馬は彼女と離れることに名残惜しさを感じている様子。
確かに、優馬を心配する人間は、ほんの一握りだ。
だから、おかしな事ではない。分かってはいる。それに、優馬は私を一番に想っている。分かっているんだ。
それでも、私の優馬を奪われるかもしれないという懸念があった。心が抑えられなかった。
ただ、今のダンジョンだけの関係だ。そう思うことで、自分を落ち着かせて。
優馬はいつも通りにダンジョンへと向かう。
いつもと違うのは、新しい装備を手に入れていること。
優馬の戦い方は明確に変わっていて、策を考えたんだと分かるもの。
主に、加藤の戦い方を真似ていた。うん。最初はそれでいいよ。
これから、もっと優馬に道具や戦い方が馴染んでいくだろう。
そうなれば、もっと活躍を見せてくれる。楽しみだ。
優馬は順調にダンジョンを進んでいって、ボスと戦う。どう見ても鬼って感じで作った。
今回は、単純なパターンでは勝てないように設計した。
だけど、加藤との戦いで学んだおかげで、道具を手に入れたおかげで、スムーズに敵を倒せていた。
うんうん。優馬と加藤の出会いは、とても良いものだった。
これからも、優馬の活躍に役立ってくれるはずだ。
だったら、それなりに気にかけてあげよう。優馬のためだもんね。
ただ、私の予定が狂ったと思える出来事があった。
いつも優馬と挨拶していた女が、彼の家へと訪ねてくる。
つまり、私と優馬の時間に入り込んでくる相手なんだ。
自分の心が冷えていくのが、強く実感できた。
優馬。私だけを見ていてくれるよね?
そうじゃなかったら、きっと私はおかしくなっちゃうよ。