「まぁ、聞いてくれよパァォリィー・シゥーペェィ。先日、AV女優の撮影会に行ってきたんだがな。撮影だけだと思うだろ? 個室で衣装を着せて写真だけだと思うよな? 向こうはポルノスターなんだから……ぷぷ。なにがあったと思う? おまえなら何が起きたらびっくりする? くぷ。うぶなおまえにゃ想像もできないことだよ、パァォリィー・シゥーペェィ。まったく日本って国はクレイジーでパラダイスだな。やぁ、あのサービス精神と言ったら……ぷぷ」
……うるせえな。
混沌? からの覚醒? 中国語は雑音でしかない。意味が全くわからない。
夢を見てた気がする。ヒラヒラと優雅に舞うアゲハチョウが、
そっか。一度は覚えのある映像なんだ。あの長話を聞いてるうちに、あまりに長いんで、脳が勝手に散歩して……それをもう一度、夢で見たのか。あの時は100万円の札束で、すぐにそれどころじゃなくなったけれど……
「どうだ驚いただろ? パァォリィー・シゥーペェィ。おっ! 目覚めたようだな。しかしこの界隈でこんな
……名前、あるじゃないっすか。
「ヒロユキ。気分はどうだ?」
「
「三日間、眠っていた」
男は相変わらずスーツでびしっときめている。状況を教えていただくと、まことにありがたいのですが………………なんとなく聞く気が起きない。そのとき、
バタンッ! ずざぁ。グスン……グスン。スコットランドに春が来た……てめえ、この野郎っ!
部屋に飛び込んできた
「独身のおまえにはわからないだろうが、俺にもいろいろあるんだ。世間の価値観で俺を非難することはたやすい。でもな、おまえは自分自身の価値をいたずらに下げるような真似はするな。いいか、ヒロユキ? 俺はなにも悪くない。子供もいないのに俺の気持ちなんかわかりっこない。だけど、俺はおまえを許す。なにがあってもな。だから頼むから俺を自由にするように、このでかい男に掛け合ってくれ!!」
3年も日本に居るのにいいかげん日本語を覚えてくれとは思うが、謝罪の気持ちは言葉の壁を乗り越えて伝わってきた。……ってことはあれか? 盗み癖のある
「ヒロユキ、心配するな。問題はすべて解決した」
「解決した?」100万はどこに?
「私にも訳がわからないが、
「じゃあ、盗んだのは
「さぁな。それよりどうして、日本人のヒロユキのために窟の連中が動いた? 彼らに貸しでもあるのか? 逆に借りを作ったのなら早く返した方がいい」
「秘密の隠し場所から時計が奪われた。その責任は取ってもらうぞ、ヒロユキ!」
……ちょっと
「いや、パァォリィーさん? シゥーペェィさん? 俺が聞きたいのは……」
「私の名を無理に探すな。パァォリィー・シゥーペェィは