「パイルバンカー!おーぅぁぁぁしゅぅぅぅぅ!!」
どびゅしゃああああっ!!
「俺の名前はパイルバンカーノリオ、今日も俺のパイルバンカーで町の平和は守られた」
決めポーズをしているノリオに懺悔と書かれたキャップを被っているやび太が小走りで近づいてくる
「ありがとうノリオくん!」
「あぁ、またボリジャンにイジメられたら僕をよべよな!」
「うん! 肉体は四散したけどボリジャンの魂が残ってる限り復活するんだよね!」
「そうだ。君の同級生のボリジャンは身体に永久機関を備えているからな」
「同級生なのにね! 普通の小学生なんだけどね!」
「ではまたな!」
ノリオはやび太にそう告げるとパイルバンカーの勢いを利用して高々と空に舞い上がった
「いつもありがとう! ノリオくーん!」
やび太の声に軽く手を振りながらノリオはドッカン公園を後にした
□
「ふぅ、今日も疲れたな」
俺はのりお43歳、フリーターだ。いつもはコンビニで夜勤の仕事をしながら街にヴィランが出たらパイルバンカーノリオとして悪と戦っている。
「パイルバンカーノリオじゃあ一銭も稼げないからな」
「前にYouTuberになろうと動画投稿してたけど伸びなかったなぁ、合成とか言われたし」
「それにパイルバンカーで悪を倒す事を仕事にしようとしたが役所で鼻で笑われて終わったし」
刹那、俺の部屋に荒々しいアラーム音が部屋に響いた。と、同時に隣に住むやたら生活音に厳しいおっさんの「うるせぇぞ」との合図の壁ドンッが部屋に鳴り響く
「ヴィランかっ!」
俺は六畳一間のアパートのドアを蹴破り現場に向かった
□
先程までいたドッカン公園にたどり着くとやび太が腰を抜かしているのが見えた
「うわぁぁぁぁ!」
「またか少年!」
「あ! のりおくん! ヌメオが! 僕の同級生の中年全裸男性のヌメオが僕のギブソンのレスポールギターをかき鳴らして返してくれないんだ!」
「金持ちのボンボンなんだな少年!」
「毎月のお小遣い5万だよ!」
「羨ましいぞ少年! おいっ! ヌメオ! ギターを少年に返すんだ」
「▲(なんか言ってる)」
「何言ってるかわからねぇ!」
「▲」
「めんどくせぇ! ぱぁいるばぁんかぁぁぁぁぁ!!」
「▲!!!!」
ノリオのパイルバンカーによりヌメオの存在がこの世から抹消された。だがヌメオはすぐに生まれ変わり第二、第三のヌメオが現れるのは言うまでもない
「ふぅ、大丈夫だったか少年?」
「弁償」
「え?」
「なに、ヌメオと一緒にギターぶっ壊してんの?」
「だって、そんな細かいことパイルバンカーにはできないし」
「のりおくんさぁ?常識ってわかってる?人のものを壊したら弁償、当たり前でしょ?」
「でも、」
「でもじゃないんだよ。弁償してよ。それとも今から親呼ぶ?」
「いや、親は勘弁して」
「じゃあ、いま現金で精算してよ」
「ぱ、」
「ん?」
ノリオのパイルバンカーがやび太に向けて最大出力で放たれた。大人だからといって子供に手を出さないとは限らないことを教えたかった。本音では事故に見せかけてこの問題を有耶無耶にしたかっただけだが
「パイルバンカー! おーぅぁぁぁしゅぅぅぅぅ!!」
今までにないほどの手応えがノリオにはあった。完全にやび太を粉砕しているはずだ。ノリオの心に安心と信頼が生まれたのは人生でも初である
だが、自体は急変した
「なん、で?」
砂煙の中からやび太が無傷で現れたのだ。ノリオはパイルバンカーに不備があったのかと確認するが何も異常は見られない
「のりおくんさぁ、それ、何回も見たことあるよ。同じ攻撃で僕を倒すつもりだったの?」
やび太が懺悔キャップを指で軽快に回しながらノリオを威圧していた
□
次回予告ぅ!
かくして! パイルバンカーノリオはギターの弁償のために派遣の交通誘導を始めるのであった!
さぁて今日もパイルバンカーじゃんけんの時間だぞ!
最初はパイル! じゃんけんバンカー!
はいっ! お前の負けー!
次週は生放送5時間SPだ!深夜2時からみんな見てくれよな!