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断罪のアハト~藍き血の捕食者~
断罪のアハト~藍き血の捕食者~
河内三比呂
SF空想科学
2024年10月10日
公開日
1.2万字
連載中
近未来の某国。
感染症により、人々が異形になる世界。
そんな世界の救世主たるは、人間を改造して生み出された人造吸血鬼達。
彼らは今日も、各々の想いを込めて、感染者達を狩る──。

*不定期更新です。

(表紙は自作です)
(こちらはネオページ様オンリー作品とさせて頂きます)

第1話 終わった世界での捕食者

 未知のウィルスにより、人々が異形となる現象が多発した世界。

 富裕層は安全区域と呼ばれるドーム状の中に住まい、中間層はその近くで恩恵を受けながら暮らし、貧民層は感染症に怯える日々。

 そんな世界において、感染者達を治す術はなく。

 その結果、生み出されたのが感染者達を食らう捕食者たる――人造吸血鬼と呼ばれる存在達だ。

 元々人間だった彼らは、新技術により人造吸血鬼となった。

 その理由は人それぞれ。

 ――金のため。

 ――守りたい者のため。

 様々な想いを背負い、彼らは今日も感染者達……俗称を藍き血者アオキチシャを狩り、その血をすする。

 藍き血者を殺す方法であり、かつ、人造吸血鬼達にとって唯一のエネルギー源だからだ。

 もっとも、代替え品は補給物資として勿論入っている。

 だが、それでは不足する上身体が強化出来ない。

 それ故に、人造吸血鬼達は獲物を求めて危険地帯へと赴くのだ……。


 ****


 サーチ用の空中浮遊する自動AIが稼働を始める。

 それを見つめながら、彼女は自身の髪に触れる。人間だった頃綺麗な金髪だったその髪は、今や水色に変異しミディアムにまで切りそろえられている。そんな彼女の服装は、ピッチリとした黒の専用スーツだ。その上からカーキ色のボロボロになった布を纏っている。

 彼女の腰には二対のナイフと、鈍色に光る自動拳銃が装備されている。この拳銃の弾丸は特殊な素材で出来ている。というのも、藍き血者は通常の武器が一切効かないからだ。


「標的はどこに?」


『アハト=ディソナンツ。ここからはサーチ出来ません。別の場所に移動する事を推奨致します』


 識別名称を呼ばれた彼女は、表情を変える事なく静かに頷き場所を移動する。両腕に着けたワイヤーを交互に射出しながら、荒廃した街の残骸を駆け抜ける。尋常ではない素早さも、身体にかかる重力も気にする事なく進む。この身体能力の高さも、人造吸血鬼であるが故だ。

 彼女は自ら人である事を捨てた。

 そこに後悔はない。

 あるとしたら……。


(気にしても仕方ないわ。今は狩りが最優先よ)


『サーチ範囲内に、標的を発見致しました。その数、六と推定します。アハト=ディソナンツは速やかに対応して下さい』


「わかっているわ」


 彼女……アハトは自動拳銃を構え、近い位置の一匹に向かって弾丸を放つ。藍き血者となった存在は、人の形を無くし、異形……要するに奇形になっている。関節は曲がり、顔は崩れ、筋肉は膨張し、完全に変異している。

 その血をすすり、消滅させるのが――仕事なのだ。

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