406. 姫は『他人行儀』らしいです
そして月日は流れ7月中旬。来るべき『すたフェス』の3日前。無事に『すたフェス』『ましリリィの3Dコラボ』の収録も終わり、あとは『あかくま50』を成功させるために準備をしていく。オレはリビングでソファに座りながらスマホでSNSを確認していた。そしてふとあることを考える。
「そう言えば……今年は同時視聴どうするんだろう?そもそもやるのか?」
いつも通りなら当日と翌日はライバー全員が休みになるので、彩芽ちゃんが言っていたが3期生はココアちゃんの家で同時視聴オフコラボ配信をするらしい。確か2期生も……朝比奈さんがそんなこと言っていたな。基本夏の『すたフェス』は一番後輩の期にオリジナル曲が出るから主役だし、おそらく4期生もやるかも。前回の1期生同時視聴配信が感動回になったからな……
そう考えると、オレが1期生と初めて会ってから1年が経つのか。まぁ活動自体は5年目を迎えるんだけどな。今現状は1期生のチャットには特に連絡も来ていない。オレがどうしようか考えていると彩芽ちゃんがリビングにやってくる。
「お疲れ様です颯太さん」
「お疲れ様」
「どうか……したんですか?」
「えっ?いや……『すたフェス』の同時視聴、1期生はどうするのかなって。誰からも連絡ないし、前回また集まろうってリスナーさんにも言ってるしさ……」
「それなら颯太さんが誘えば良いんじゃないですか?」
「えっオレが!?」
彩芽ちゃんの提案に驚く。そう言うのは最年長である立花さんとか、いつもまとめ役をやってる月城さんとか、こう言うの好きそうな日咲さんが提案するものじゃないのか?
「だって……一番颯太さんがやりたそうですし……」
「あっいや、やりたいというよりリスナーさんに言ってるからで……」
「はい。なら連絡した方が良いと思います」
確かに彩芽ちゃんの言う通りではある。ここで悩んでるくらいなら、連絡した方が良さそうだ。でも、正直オレから1期生のチャットに連絡したことは最初の『ましのん』の企画の時以来だ。いつもは連絡が来たものを返しているだけだからな。
なんか……緊張してきたぞ……
とりあえずオレはパソコンを開き、1期生のチャットルームを開き、メッセージを送ることにする。
「今年の『すたフェス』が3日後になりましたね……えっと……前回リスナーさんにも……集まろうと言っているので……集まって同時視聴したほうが……宜しいかと思うのですが……皆さんご都合いかがでしょうか……こんな感じかな」
「あの……颯太さん……」
「ん?」
「なんでそんなに……他人行儀なんですか?同期ですよね?……私にはもっとフランクに文面作るように……いつも言ってますけど……?」
「いや、でもチャットで連絡取るのなんて久しぶりすぎて……あっ!」
間違えて送信ボタンを押してしまった。慌てて取り消そうとしたがもう遅かった。チャットにはオレのメッセージが届いてしまっている。するとすぐに返信が来た。
ポアロ:「どした姫wこれ配信じゃないけどw」
ましろ:「いや間違って……」
リリィ:「何?これ業務連絡なのw」
ましろ:「違うよ。『すたフェス』どうするのかなって……誰も何も言わないからさ」
ひなた:「えっ?ましろちゃんの連絡待ってたんだけどひなた?だって前回集まるようなこと言ってたのましろちゃんでしょ?」
そうだったのか……?確かにそうなんだが……
ポアロ:「あのさ!1期生もオフコラボしない?他の期はオフコラボするらしいし!」
ひなた:「オフコラボかぁ……ならましろちゃんの家が良いんじゃない?部屋いっぱいあるし」
ましろ:「えっ?ましろの家?」
ひなた:「それならリリィちゃんもいいでしょ?」
リリィ:「ましろの家?まぁ……部屋が別なら構わないけど……」
ポアロ:「ポアロとひなちゃんとは一緒だよ?」
リリィ:「ましろと一緒じゃなきゃ問題ないわよ」
ひなた:「あ。ポアロちゃんはましろちゃんと同じ部屋でもいいよw」
ポアロ:「なんでw」
なんかオレの家でオフコラボすることになったんだが……こうして何故かオレの家に1期生が集結することになった。