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150. 姫は『見学』させたいようです

150. 姫は『見学』させたいようです




 そしてその日の夜。手伝ってくれたお礼になぜか夕飯を奢る話から、一ノ瀬さんが『たこ焼きパーティー』をしたいと言い出したので、スーパーで材料を買いそのまま家で行うことになった。


「上京しだら、タコパやっでみたかったんです!ありがとうございますマネージャーさん、衣音ちゃん」


「それにしても材料を大量に買ったな……」


 オレがその量に唖然としていると、衣音ちゃんに話しかけられる。


「あ。あの……神崎マネージャー」


「どうしたの?」


「あの……ココアからディスコード来てて『え?マジ?良いなぁ。ココアも食べたいなぁ。』って言ってるんですけど、まだデビュー前に軽々しく会うのってまずいですかね?」


「いや問題ないよ。でもデビュー前でコラボ解禁前だから、配信とかで今日のことを話すのは禁止だけど。それさえ守ってくれれば大丈夫だよ」


「凛花さん。ココアも呼んでいいですか?近くにいるみたいなので」


「ココア先輩が!?そんな嬉しいことが起きていいんですか!?ご迷惑じゃなければぜひ!」


 そして、しばらくするとインターホンが鳴る。ピンポーン どうやら来たみたいだな。


「お邪魔します!あ。朽木ココアですよろしくお願いいたします」


「あっあっあの園崎ラビです。本名は一ノ瀬凛花です。よろしくお願いいたしますココア先輩!」


「ココア先輩……いい。なんか嬉しい!あっ私は相馬愛梨です。今日はお誘いいただきありがとうございます」


「いえいえ……まさか『あるココ』に会えるなんて……本当に若いしめんこいなぁ」


 でも、こうやって顔合わせが出来たので一ノ瀬さんにとってもプラスになるだろうな。


「衣音ちゃん。そう言えばいつの間に知り合いになったの?」


「いや私も初めましてだよ?今日いきなり姫先輩から連絡きて、凛花さんの機材のアドバイスしてほしいって言われて。そうですよね神崎マネージャー?」


「え?あっうん。姫宮ましろさんとはかのんちゃんが『ましのん』でお世話になってるから、面識があって。相談したらお願いしてくれたんだ」


「え?マネージャーさん、あの姫宮ましろ先輩とも仲いいんですか!?」


「一応マネージャーだからね……ある程度のライバーさんとは知り合いだし、そんなに驚くことないよ一ノ瀬さん」


 その姫宮ましろはオレなんだけどな。それにマネージャーだけど他のライバーとの交流はほとんどない。せいぜい企画収録やら事務所で顔を合わせる程度だ。担当ライバーに専念するというのが会社方針だからな。


「早速タコパ始めましょう。もうお腹ぺこぺこです」


「そう言えばさ、他のVtuberとかって良くタコパ配信とかやってるよね?私も……今度やってみようかな?」


「あ。確かにいいかも!衣音ちゃんはゲーム配信ばっかりだから、あるてぃめいとも喜ぶんじゃない?」


「ゲームばっかは余計なお世話だよw」


 それを聞いてオレは1つ良い考えが思い付く。これは一ノ瀬さんにとってもプラスになる。あとは2人がどうかだけど……


「なら、今から配信してみないか?あるココで。一ノ瀬さんはデビュー前だからオレと隣の部屋で音声が入らないように見学させてもらおう。先輩の配信を観るのも勉強になる。どうかな?せっかくのタコパだし楽しくやりたくないか?」


「配信か……確かにセッティングした機材も確認したいし、私はいいよ。愛梨ちゃんは?」


「やろうやろう!全然やる!むしろやりたい!枠取ろう枠」


「よし。決まりだな。配信内容はタコパをしながら雑談と質問コーナーだな。ゲリラ配信だからTwitterでツイートしておいて」


「間近で見学できるなんて……夢みてぇだ……」


 こうして、急遽『あるココのタコパ!』配信を行うことになった。配信準備をしている間も一ノ瀬さんは色々メモをしながら2人に聞いていた。その顔とても真剣でやる気に満ち溢れていた。

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