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80. チャンネル登録者10万人への熱い夏⑤

80. チャンネル登録者10万人への熱い夏⑤




 ~まくら配信~


 そして時間は18時。玲奈ちゃんが配信を始めて10時間。もう声もほとんど出なくなってきてしまっているので、雑談が多めになってしまっていた。


 鈴町さんと、あるとちゃんのおかげで、残りのチャンネル登録者数は2882人まで減っている。ここで失速したら、22時までには達成できないかもしれない……。


 それは並走配信しているさくらちゃんも薄々感じているとは思うが……


「残り3000か……頑張ってほしいぜソフィア。なぁましろ先輩?実際さ10万人耐久配信はすごいけど、そもそも歌い続けてるソフィアがやばいと思うんだよな。喉壊さないようにして欲しいぜい」


 《確かにね。ましろもこの前喉痛めたし、配信休むとさみんなに会えないから辛いよね》


「だからさ。それだけの覚悟で配信しているからよソフィアは。本当にソフィアを応援したい人は観に行ってチャンネル登録してやってくれな」


 コメント

『もう10時間歌ってるのか……』

『頑張れソフィたん』

『オレ行ってくるぜい!』

『オレも!』


「おう!よろしく頼むぜい。さて、ましろん先輩3000人切ったから、また凸の時間だ。でもな……」


 《どうかしたのかな?》


「いや。お嬢に凸するんだけど、あいつたぶん配信観てないと思う。会議やらレッスンやら収録やらで。まだ事務所だと思うけどさ……まぁいっか。ソフィアのためだもんな!」


 《最高のプロレス芸が観れるよ。みんな》


 つまり、クララさんは配信と裏が違うって事か。事前に連絡してあげたいけど時間がないって話な。まぁイメージとかの問題だろうから、万が一の時は2期生の絆とやらでなんとかするしかない。


「とりあえず繋ぐぜい……あ。もしもし?」


 《もしもし?どうしたの?今日もゲームのお誘い?》


「ああああぁ~!!……観てなかったか……ごめんお嬢!これ配信!」


 《え……はぁ!?おいおいおいおい!!お前ぶち○すぞこの!》


「ごめ~んお嬢!」


 コメント

『草』

『クララwww』

『クララお嬢様w』


 《お前!リアル仲良しがバレただろうがwww!これ不正捜査だぞ!令状持ってこいよ!》


「ごめんって。ちなみにましろ先輩もいるからwww」


 《お前wwwよりによって、ましろ先輩いるんかよwww!》


 《こんばんはクララちゃん》


 《あっあっこんばんはましろ先輩。さくら。お前、来月いのりさんの懺悔室行けよな!訴えんぞwww》


 コメント

『クララお嬢様かわいい』

『お嬢様やっぱり好き』

『2期生好き』


「行く行く。行くから。それよりお嬢さ今事務所?何してた?」


 《帰る前にコンビニで買った、トンカツ弁当食べてんだよ!》


「そんな怒るなよwwwあのさ隣の隣のスタジオにさ行ける?」


 《ソフィアさんのところ?元々行くつもりでしたわ。差し入れをコンビニで買ったので。残り3000切りましたわよね?なんとか頑張ってほしいですわ》


 コメント

『お嬢も優しいな』

『お嬢様かわいい』

『ソフィアちゃん愛されてる』

『トンカツ弁当と差し入れ買いに行くお嬢』


 《クララちゃん。なんとかお嬢様パワーで応援してあげて……でも相手はリアルお嬢様だけどwwwお嬢様対決だね。》


 《おいおい!ましろ先輩もわたくしをいじってくるんですの?》


「あはは。ありがとうお嬢。頼んだぜい」


 《分かりましたわ。最後にいいかしら……親衛隊と捜査一課の皆様はわたくしを可愛いと言ってくれるので嬉しかったですわ。では。》


「お嬢。自分の配信だと、もうクララ呼びされてるもんな」


 《クララちゃんと裏で仲良しなんだねさくらちゃん。結構遊ぶの?》


「クララから誘われることが多いかもしれねぇ。結構遊ぶぜい」


 コメント

『仲良し2期生』

『てぇてぇ来たか?』

 伊集院クララch:『余計な事言うな。トンカツが不味くなる』

『トンカツ食いながら配信観るなw』


「もうコメント欄にいるじゃんお嬢」


 《あはは。でもありがたいよね》


 クララちゃんが応援に行ってくれるなら、またチャンネル登録者は増える。けど、まだ足りない。


 《ねぇさくらちゃん?》


「どうしたんだいましろ先輩?」


 《少し用事が出来たからさ?そのまま1人で配信お願いできるかな?》


「……はいよ。突発コラボ助かったぜい。ありがとうましろ先輩」


 《うん。じゃあまたねみんな~》


 そして配信を切る。さくらちゃんにはきっと伝わっているはずだ。ここは……誰かが行くしかない。それがオレなんだ。FmすたーらいぶのトップVtuberである『姫宮ましろ』がやらなきゃいけない。


 玲奈ちゃんには『姫宮ましろ』の正体を明かしてはいない。事務所の許可だってない。それでも……仲間を辞めさせるわけにはいかないんだ。オレはそのまま部屋を飛び出していくのだった。

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