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75. 姫は『優しさの責任』をとるらしいです

75. 姫は『優しさの責任』をとるらしいです




 そして来る8月19日(土)。オレは朝配信の準備をする。


「そう言えば玲奈ちゃんも同じ時間からスタートだよな。機材がある事務所のスタジオでやるはずだから、朝早くから行くのか大変だな」


 オレはふと葉桐ソフィアのチャンネル登録者を見る。今のチャンネル登録者は91020人。約9000人か……。他の3期生のオフコラボも始まるだろうし、なんとか盛り上げてやりたいな。


 そして朝配信をいつものようにこなし、時間は午前10時。3期生のオフコラボはゲーム対決をして、負けたら3期生の好きなところを発表という内容だ。まぁ無難な内容だと思うし、配信しながら玲奈ちゃんのチャンネル登録者を確認しているようだ。


 ちなみに今は2000人くらい増えていた。スタートは問題なさそうだ。結局リスナーが増えるのは最初だけだからここからは厳しくなるな。あと7000人だもんな……


 それから、しばらく部屋で作業をしていると突然ディスコードが鳴り出す。相手は……遠山さくらさんからだ。


 《もしもし?ましろ先輩?》


「さくらちゃん。お久しぶりだね。どうかしたのかな?」


 《今暇ですか?もし良かったら突発コラボしません?ソフィアの10万人を応援したくて。予定ありますか?》


 唐突にコラボのお誘いがきた。しかも突発コラボか……。ただコラボしても、玲奈ちゃんのチャンネル登録者が増えるわけじゃない。ヘタしたらこっちにリスナーが流れてしまう恐れもある。でもさくらちゃんからのお誘いなら、なんか策があるんだろうけど。


「予定はないよ。応援って何やるの?」


 《並走配信を考えてます。面白い企画だから絶対大丈夫ですから!お願いしますましろ先輩!》


 そこまで言われたら断る理由もない。さくらちゃんはFmすたーらいぶでも企画力は一番と言っていいほどだ。安心だし、それにさくらちゃんとはコラボしたことないので面白そうでもある。


「いいよ。責任はましろとさくらちゃんも一緒に取ろうか。タグはどうしようか?初めてだもんね?」


 《『#まくら』にしましょう。それじゃ12時からゲリラ突発コラボで。サムネは作って、Twitterに告知しておきます。ありがとうございます》


 こうして、急遽突発コラボが決定した。本当にさくらちゃんは裏だと礼儀正しい女の子だよな。そして配信時間になり、オレはさくらちゃんの配信にお邪魔する。


 コメント

『まさかのコラボw』

『急なコラボとか珍しいな』

『わくわく』

『まくら……ましのんのオフコラボ以来だな』

『ソフィアちゃんの応援コラボ』

『あと6500人!』


「おう!元気かい?Fmすたーらいぶ2期生、最強の女刑事とはこの遠山さくらのことだい!全員逮捕してやんよ!そして」


 《強制的に拉致された姫宮ましろです。ましろは無罪です。冤罪です》


「人聞き悪いなましろ先輩?一緒にソフィアを全力で応援するって言ったじゃねぇか」


 コメント

『この組み合わせもなかなかないな』

『ましろんが拉致られたwww』

『ましろん、後輩に手錠かけられてやがる!』


「おうおう!そこうるさいぞ!お前らには後でたっぷりとお仕置きしてやるぜ。さて、早速始めようじゃないか。まずはこれを見てくれい!」


 さくらちゃんは画面に、ある表を表示させる。そこにはこう書いてあった。


【耐久マシュマロノック並走配信ソフィア10万人まで応援スケジュール】

 残り6000人→サイン色紙10名分(今書く)

 残り5000人→誰かに凸する

 残り4000人→リスナーからの希望でボイスTwitter投稿

 残り3000人→誰かに凸する

 残り2000人→ソフィアに凸して直接応援

 残り1000人→さくらとましろん先輩の告白ボイス生披露とTwitter投稿

 残り500人→3期生に凸する。みんなで達成の瞬間を見守る


 なるほど。登録者を誘導する作戦か。この内容ならやりすぎてないから問題はないな。


 《えっと……これはどういうことかな?》


「そのまんまだよ。ほら、昨日ましろん先輩がソフィアを応援してってディスコードくれたんだぜい?優しさの責任をとらないとな!」


 《そうだね。でもさくらちゃんが真っ先に『今暇ですか?』って言ってきて、この突発コラボ提案したんだけどね?優しいのはさくらちゃんじゃない?営業妨害かな?》


「……ダメだ。ましろ先輩に口じゃ勝てねぇ。ほら時間もったいないから始めるぜい!こっちの配信は耐久マシュマロノックだから、どんどん質問寄越しな!ラインギリギリのは頑張って答えるぜい!」


 《いっぱい答えちゃうからお願いね!あとソフィアちゃんの応援よろしく!》


 こうしてオレとさくらちゃんは突発コラボを始めていくのだった。

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