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63. 『闇のトーク劇場!わらしべ逆凸開幕!』配信③

63. 『闇のトーク劇場!わらしべ逆凸開幕!』配信③




 配信はノープランの割には順調だった。コメントも面白いものばかりだし、何よりポアロさんと一緒なのは安心する。配信慣れしてるのもあるだろうな。


「じゃあ次は誰にしようかな。トークデッキは曲とライバルだっけ?」


「そうだね。ちなみにポアロ探偵のライバルは誰?」


「そんなのさくらに決まってるじゃん。あいつエセ警部だし、昔から探偵と警察は仲が悪いんだから!」


「それ設定の話でしょ?困るなぁ1期生の先輩がビジネス持ちだすのは?」


「ついに黒姫の圧がポアロにも来たんだけど……」


 コメント

『草』

『設定w』

『やめたげて』


「じゃあポアロ探偵。トークデッキをちょうだい。とびきりラインギリギリのやつ」


「え?あー。今答えたからか。えっとね、『Fmすたーらいぶで付き合うなら誰?(性別そのまま)』てぇてぇ路線!しかもガチのやつ!」


「ちなみにポアロ探偵は……」


「いやその手には乗らないから黒姫さん!早く誰かに繋がないと!」


 コメント

『てぇてぇ路線歓喜!』

『黒姫の本性出てるな』

『みんな冷や汗かいてる』


「おっ!まさかの英雄が来たぞ!」


「え?誰?ふふ。来ちゃったか……」


「早速繋ごう!もしもし?ポアロ探偵です。自己紹介お願いします」


 《こら!あなたたち!配信観てたけど好き勝手やりすぎじゃないの?後輩をビビらせて1期生として恥ずかしいんだけど?》


「ほらママ!自己紹介!」


 《待たせたわね眷属たち。Fmすたーらいぶ1期生、魔界の時期女王こと魔月リリィよ。》


 コメント

『救世主リリィママ』

『やっぱり来てくれたか!』

『どっちも聞け』


 《ちょっと待ちなさい。なんで私だけ、どっちもなのよ》


「リリィさん本人と歌いたいオリジナル曲あるの?」


 《え?あるけど……》


「もしかしてポアロの『Complex』?」


「ましろの『ホワイトプリンセス』?」


 《……『マジカル×マジカル』だけど……ココアの……》


「「可愛いwww」」


 コメント

『あー。』

『ママ可愛い』

 朽木ココアch:『え~っ!ママ先輩一緒に歌おう!』

『あのダンスやるのか?』

『意外に乙女』

『ポンココいるw』


「コメント欄にココアいるじゃん!良かったねココア!リリィママが歌いたいって!それにしても可愛いなリリィママは」


 《いいじゃない別に!文句あるの!?》


「ないけど、ましリリィはなかったんだね……残念だよ」


 《なんで私が振られてるみたいになってるのよ。これ?》


「ということは……?リリィママ。ほらほら。もうひとつのトークデッキ!忘れてない?」


 《……Fmすたーらいぶで付き合うなら誰?だっけ?私は言わないわよ。オリジナル曲答えたじゃない》


 コメント

『逃げるなママ』

『それが聞きたいんだ!』

『頼む』


「コメント欄が荒れるぞリリィママ?」


「仕方ないから誰か呼び出すしかないんじゃないかなポアロ探偵?」


「そうだね。あーリリィママが答えてくれれば犠牲者が現れなくて済んだのにね?ひどい先輩だよ本当に」


 《誰が誰に言ってるのかしら?それにあなたたち犠牲者って言ってるんだけど?……分かったわよ答えるわよ……ちょっと待って……えっと……うん。ひなたかしら》


 コメント

『ひなちゃん!』

『ひなリリィ来たぁ!』

『ひなちゃんなら安心』

『ひなちゃんは強い』

 神川ひなたch:『あらぁ(^^)v』


 《違うからね?同期だし、付き合い長いしあくまで付き合いやすいって話だからね?》


「それならポアロも同期なんだけど!?ひどすぎ!」


「もうリリィさんの連絡は無視します。Fmすたーらいぶさん、ましポアはリリィさんと共演NGです」


 コメント

『草』

『草』

『草』


 こうして、ほぼノープランのオフコラボはまたまた大盛況で幕を閉じた。配信が終わって、日咲さんと共にSNSのチェックなどをする。


「いやぁ楽しかったね。リリィママもきちんとオチをつけてくれたし!あと黒姫最高だったよ颯太?」


「あれ無茶振りすぎだぞ?」


「でも良かったじゃん。あのキャラは使えるでしょ?これから配信やりやすくなったんじゃない?」


「まぁ確かにな」


 あの咄嗟に出たキャラは『姫宮ましろ』のお清楚キャラとは違う裏の顔みたいな感じを出せるしな。良かったと言えば良かったか。


「さて……もう寝ようかな」


「ああ。お疲れ様日咲さん」


 日咲さんはそのまま部屋を出ようとするが、立ち止まり振り返りながらオレに言う。


「……あー……一緒に寝る?」


「えっ!?」


「冗談だよ。オフコラボだから期待した?」


「期待してないから。からかうなよ」


「あはは。そっか、じゃあおやすみ」


「ああ。おやすみ」


 ドアを開けて出て行った。からかわれたか……。ふと気づくと部屋に日咲さんの甘い女の子の匂いが残っている。それが少しドキッとした。


 オレはベッドに倒れ込み天井を見つめる。なんだかんだで楽しいオフコラボになった。色々あったけど、こんなに騒いだのはいつぶりだろう。明日はどんな1日にしようか。


 やっぱり……『姫宮ましろ』を……Vtuberをやってて良かった。そんなことを考えているうちに眠りについてしまった。

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