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45. 姫は『恩返し』がしたいようです

45. 姫は『恩返し』がしたいようです




 そして来るべき『Fmすたーフェスティバル』の前日になった。ちなみに明日、明後日はライバー全員が休みである。でも、いつもの流れなら同時視聴配信とかをやる人がいると思うけど、どうなるかな?


 オレはリビングでソファに座りながらスマホでSNSを確認していた。すると、突然ディスコードにメッセージが送られてきた通知音が鳴った。誰だろうと思い確認してみる。


「えっと……『明日のFmすたーフェスティバルの同時視聴をしようと思うんだけど……せっかくだし!1期生で配信したいんだけどどうかな(。・_・。)!?』か」


 そのメッセージはオレと同じFmすたーらいぶ1期生の青嶋ポアロさんからだった。リリィさんやひなたさんはどうするんだろうか?オレはいつもなら絶対に参加しないのだが……とりあえず部屋に行きパソコンの電源を開く。万が一通話されると困るからな。


 ちなみに、リリィさんとひなたさんからは返事はない。おそらくオレ次第なのかもな……。


「……とりあえず通話してみるか」


 オレはそのまま青嶋ポアロさんに連絡をしてみる。すると通話はすぐにつながった。


「あ。もしもしポアロさん?」


 《姫ガチ!?デビューして3年目だけど、初めてじゃないポアロに通話してくるの!マジ焦ったw》


「ごめんね。明日の同時視聴のことなんだけど……」


 《あ。姫、無理しないでいいからね。ポアロさ、いつもこういうの突然誘うじゃん?だから気にしないでね》


 その言葉を聞いて申し訳なくなる。きっと今までもこういう機会はあった。オレが参加しないからやらなかったのだろう。1期生が集まったことは1度もない。それはきっと『姫宮ましろ』が揃わないならやらない。みんながそう思ってくれていて、優しいからだろう。


「ポアロさんの枠でいいのかな?」


 《えっ?姫来てくれるの!?》


「うん。参加するよ。今までごめん」


 《全然気にしないで大丈夫!ガチで嬉しいんだけどあたし。明日のサムネ、ひなちゃんに作ってもらおうかな?》


「まずは、2人が大丈夫かどうかじゃないかな。そのあと枠どりが先だと思うよポアロさん」


 《そっか。そうだよね。マジ嬉しすぎて楽しみすぎるあたし!》


 もう一人称があたしになってるし。ポアロさんは裏だとあたしになるんだな。でも本当に嬉しそうで良かった。


「じゃあまた明日」


 《了解!また明日会おーう!バイバ~イ》


 こうして通話を終えた。今からでは遅いのはわかっているけど、少しでも同期のみんなに恩返しがしたい。そう思った。


 そして翌日。リリィさんとひなたさんももちろん参加するので初めての1期生コラボが実現する。配信のサムネは『神川ひなた』さんが素晴らしいものを作ってくれたので、TwitterやSNSでも拡散され大好評だった。やはり、初めての1期生コラボということもあって、期待しているファンが多いようだ。


 ポアロさんの枠は19:00からなので、最初の30分は雑談することになるな。まぁ問題はないと思うけど。そして時間は18:40分。待機ルームにはすでにみんながいた。とりあえず挨拶するか。


 ましろ:「こんばんは。早いねみんな」

 ひなた:「ましろちゃん来た」

 リリィ:「こんばんは」

 ポアロ:「おお!本当に全員揃ったんだけど(((・・;)」

 ましろ:「え?ポアロさん、ましろが来ないと思ってたの?」

 ポアロ:「だって今まで姫ってそういうの来なかったじゃん(((・・;)だからほんの少しだけ……」

 ましろ:「酷いなぁ」


 確かにそう思われても仕方ないかもな。実際、デビューした時もあまり乗り気じゃなかったし。ただ、今は違う。同期がいて、後輩もたくさんいる。そして何より応援してくれるリスナーやファンも増えた。そんな今のオレはVtuber『姫宮ましろ』になるのが心から好きで、楽しみなんだ。

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