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41. 姫は『ヘルプ』するようです

41. 姫は『ヘルプ』するようです




 時間は午後10時。オレは明日の配信のサムネやらの準備をしている。ちなみに鈴町さんはこの時間は自分の配信の準備やらお風呂に入ったりやらで、意外にバタバタしている。


「今日の鈴町さんは何をするんだ?」


 オレはTwitterを確認すると『双葉かのん無人島から脱出します!』というタイトルがツイートされている。


「そう言えばこの前、何のゲームを買うか相談されたよな……脱出ゲームか。それにしても鈴町さんもだいぶ慣れてきたようだな」


 そんなことを考えていると、突然桃姉さんから連絡が来る。


「もしもし?」


 《ごめん颯太。今どこにいる?》


「どこって部屋で明日の配信準備してたけど?」


 《良かった。悪いんだけど、ヘルプしてほしいのよ。3期生の朽木ココアちゃんの配信が機材トラブルで事故ってるのよ》


 え?マジ?オレは朽木ココアの配信を観に行くと画面が真っ暗で音声だけ流れている。


「おお……結構な放送事故だな」


 《まだ開始5分だけどこのままじゃコメント欄が荒れるわ。3期生だから、まだこういうトラブルに慣れてないし、少しパニックになってるし、これで自信なくしたり病んじゃったら大変だわ。このまま放置するわけにもいかないでしょ?お願いできる?やり方は任せるから》


「分かった」


 今までは他のライバーのことは別にどうでもいいと思っていた。だけど今は違う。鈴町さんやFmすたーらいぶのライバーたちはオレの大事な仲間だ。助けるのは当然だろ。


 オレはPCの前に座り、ヘッドセットを装着してマイクの設定をして朽木ココアちゃんにディスコードで通話をつなぐことにする。するとパニックになっているのか確認もしないで通話がつながる。よほど焦っているんだな。


 コメント

『画面映ってないぞ』

『ポンココが出た』

『難解な謎解き配信まだ~』


「ごめん……どうしよ……ここを……何で画面が……何もできないよ~」


 《こほん。……こんばんは。本日限定『まっしろココア』の夜ラジオをお聴きのリスナーさんいかがお過ごしですか?》


「えっ……誰ですか?」


 《私はあなたの先輩ですよ。さて、リスナーの皆さんはもうお分かりでしょう。》


「あ……あ……あああぁああっ!!まさか……ましろ先輩!?」


 コメント

『え?』

『本物?』

『姫が来たぞ』

『うおおおおおっ!』


 《はい。そうです。姫宮ましろです。ココアちゃんには何とは言いませんがガチャガチャやりながら話してもらいましょうか》


「えっ……あの……え?」


 《ほら、早くしてください。リスナーさんたちが待ってますよ》


「あっはい!」


 《その前にココアちゃん。この真っ暗な画面が難解な謎解きなのかな?この画面の中に答えがある。パーフェクトダーク的な?》


「ちっ違います!すいません今直しますから~!」


 コメント

『草』

『パーフェクトダークwww』

『姫がいじめてる』

『姫様のS気質』


 《はい。ちなみに今スマホでコメント観てますからリスナーさんたち安心してくださいね。この画面には何も映ってないですけど》


「うわ~ん。ましろ先輩がいじめる!」


 とりあえず何とか場繋ぎは出来そうだな。あとは時間稼ぎか。


 《ココアちゃんさ、ましろに聞きたいことある?》


「色々ありすぎるんですけど、とりあえずこういう配信事故った時どうしたらいいんですか?」


 《リスナーさんのコメント欄に聞きたいこととか聞くしかないかな。でもねココアちゃん。この配信中に画面が直って謎解き配信したら、サムネやタイトルは嘘じゃなくなるから。命懸けで直そうね》


「はひ……」


 コメント

『怖い……』

『ガチトーンやめてくれ』

『ココアちゃんがんば』

『姫のドSが炸裂』


 こうして何とか場繋ぎには成功した、あとは画面が映るように何とか直してくれよココアちゃん。

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