34. 『ましのん』バトル配信②
「……あのリリィさん。揃える気ある?」
「はぁ?好きな果物で『さくらんぼ』の何が悪いのよ!」
コメント
『ましリリィの正答率低すぎて笑える』
『先輩頑張れ!』
『がんばれ』
『もっと本気出せよ』
『リリィ様のさくらんぼはエロい』
「これましろの枠なんだけど。ライン越えてるよその答え?」
「どこがライン越えなのよ!」
「初企画なのに……かのん困りますよリリィ先輩~」
「わざとにしか見えないなぁソフィアも」
「あなたたちは敵でしょうに!みんな『さくらんぼ』に謝りなさいよ!」
コメント
『こいつらw』
『初コラボで喧嘩すなwww』
『リリィママ必死過ぎて草』
『姫も容赦ねえな』
だいぶ揃わなかった時のプロレス芸ができて盛り上がってきているな。それはもちろんリリィさんが良い人であるからなんだけど……
「次が10個目……時間的に最後かな?今のスコアは2対2で同点だね。まだ舞えるねリリィさん!」
「約3年と半年で差がつかないのはどうかと思うわよ」
「それはリリィさんのセンシティブワードのせいだから」
「だったらもっとすごいの言ってあげるわよ。魔月眷属のみなさんしか知らない、秘密を教えましょうか」
「それは流石にアウトかな」
コメント
『待機中』
『ママ~!』
『どんな言葉が出るのか楽しみ』
『やめろ姫を汚すな』
『かのんちゃんとソフィたんも汚すな』
「なんか先輩方がやり合ってる。今がチャンスかも。ソフィアちゃん最後のお題お願い」
「うん。最後のお題は『もしFmすたーらいぶのメンバーが異性だった場合、付き合うとしたら誰がいい?』だって。あーこれはソフィアたちがもらったね?」
「かのんに合わせてねソフィアちゃん」
「もちろん!まし……あ。だよね?」
コメント
『もう答えが分かってるやつ』
『姫だろ』
『ましろんだな』
『ましろ姫以外ありえん』
とコメント欄では予想通りの答えが飛び交う。3期生の答えはもちろん『姫宮ましろ』なんだろうけど……オレは……Fmすたーらいぶのメンバー……か。
「それじゃせーので答えるよ。せーの!かのんちゃん!」
「ましろ」
「ましろん先輩!ましろん先輩しか勝たん!」
「姫先輩」
「え?リリィさん?」
「え?」
コメント
『リリィ様www』
『リリィママ草』
『これはイージー』
『かのんちゃんはガチ恋勢だからな』
「リリィさん。本当はましろのこと好きなんだ。まあ嬉しいんだけど……」
「べ、別にそういうわけじゃないんだからね!勘違いしないでくれるかしら?消去法よ消去法!」
「でもさリリィさん。ましろを選んだら絶対揃わないよね?」
「あ。」
「そこまでしてまで……ましリリィ始まっちゃった?」
「ちょっとましろ!変なこと言わないでちょうだい!!」
コメント
『ましリリィw』
『満更じゃないママ』
『やっぱり同期』
「あー……先輩方!ソフィアの横ですごく不機嫌な妖精がいます」
「こほん。えー。この度、ましリリィのアンチ代表に就任しました双葉かのんです。ましろん先輩は渡しません!というより、ましろん先輩はかのんを選んでくれてますから。相思相愛です!」
「ビジネスだからね」
「ビジネスじゃないですよ!」
「でも、ましソフィもあるね?ソフィアちゃん」
「姫先輩……」
「ダメ!『ましのん』しか認めない!」
華麗にオチもつけられたな。そんなこんなで『ましのん』の初企画配信は無事に終了した。
オレはそのままベッドに倒れ込みながらTwitterを開き配信の反響を確認すると『#ましリリィ』や『#アンチ代表』などが急上昇していた。
一応『姫宮ましろ』と『魔月リリィ』はFmすたーらいぶの中でもトップクラスのVtuberだし、チャンネル登録者数が50万人をこえているからな。反響は大きいだろう。これはもちろん『双葉かのん』や『葉桐ソフィア』にとっても効果はあるはず。オレは少しずつ手応えを感じていた。