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21. 後輩ちゃんは『サムネ』を作りたい

21. 後輩ちゃんは『サムネ』を作りたい




 翌日。いつものように朝の配信をしてから『姫宮ましろ』に来ている案件やら雑件をしていく。それに今週末にはついに『ましのん』のユニット発表が控えているのでその準備もしていかないと。


「ま……ましろん先輩。おはようございます」


「ああ。おはよう鈴町さん」


 鈴町さんはいつも通り起きて冷蔵庫から牛乳を取り出していた。ふと気づいたんだが鈴町さんのパジャマって……『姫宮ましろ』のグッズだよな?


「鈴町さん。そのパジャマって『姫宮ましろ』のコラボTシャツか?」


「え?あ……はい……そうです……」


「へぇ~結構似合ってるよ。それって数量限定だったよな?」


「はい……5枚持ってます……」


「そう……ありがとな」


 顔を真っ赤にして俯く鈴町さん。本当に『姫宮ましろ』が好きなんだな……


「そう言えば週末の『ましのん』のユニット発表の配信用のサムネ出来てる?」


「あっ……まだです……」


「そっか。鈴町さんは今日の配信は夜?もし良かったら、それまで一緒に作ろうか?」


「あ……でも……サムネは私が作るって……言ったので……」


「遠慮するな。2人の『ましのん』だろ?オレたち」


「はい……よろしくお願いします……ましろん先輩」


 そしてオレは早速彼女の部屋にお邪魔し、パソコンのモニターを見ながら色々とアドバイスをしながら進めていく。ちなみに鈴町さんの部屋には『姫宮ましろ』のグッズが沢山飾られていた。中にはオレも思い出せない物とかもある。やっぱりファンとしては推しのグッズとかは集めたくなるもんなんだろうな。……もちろん『双葉かのん』のグッズもあるけど、量が全然違うんだよな……


「このイラストは少し引き気味の方が面白いんじゃないかな」


「あ……はい……」


 あまり納得していないのか、鈴町さんは微妙な反応をしている。


「どうした?」


「いえ……その……サムネのイラスト……他にないかなと思いまして」


「鈴町さんはこのイラストはあまり納得いってないのか」


「はい……もっと……『ましのん』の魅力が伝わるようなサムネにしたくて」


 基本Vtuberのサムネはファンアートなどでお借りすることが多い。もちろんファンアートタグをつけたものは配信のサムネなどに使わせて頂く場合がありますなどツイートや初配信などで言ったり、許可はもらっているが。


『ましのん』のイラストはまだ事務所が発表していないからファンアートのタグがついてないものしかSNS上にないから無断では使用できない。多少は『姫宮ましろ』と『双葉かのん』のファンアートに投稿されているけど、鈴町さんの納得するものが見当たらないというわけだ。


 一応、Twitterで募集もできるが、万が一『ましのん』のことが匂わせがあると困る。だからそれもできない。どうしたものかな……そんな時1つのアイディアを思いつく。


「鈴町さん。他のライバーさんに頼んでみないか?」


「え?」


「絵が上手い人がいるだろう。事務所のライバーさんなら『ましのん』のことを知っているし、鈴町さんも気兼ねなく使えるだろ」


「確かに……そうですね……でも誰に頼みましょうか?」


「1期生の『神川ひなた』さんは確か元イラストレーターさんだったよ。絵が上手いし、優しいからお願いしやすいかもな」


 神川ひなた。Fmすたーらいぶ1期生でオレの同期。見た目は神社の巫女服を着ていて、長い黒髪で美人。いつもニコニコしている癒し系お姉さん。企画物の収録などでは度々司会を務めることが多く、模範的でみんなの憧れ。コンセプトは「Fmすたーらいぶ内の癒し系ほのぼのお姉さん」らしい。そして元イラストレーターさん。得意な配信はもちろんお絵描き配信。


「ましろん先輩は……仲良いん……ですか?」


「いや?企画で数回会ったくらいだな。たまに連絡がくるくらいかな……」


「でも……いきなり頼んで……迷惑じゃないでしょうか?」


「大丈夫だと思うぞ。オレもフォローしてやるからディスコードで確認してみるといいよ」


「えっ……私が……確認するんですか?」


「サムネは鈴町さんが作るんだろ?」


「うぅ……わかりました……」


 渋々といった感じだが鈴町さんはディスコードを開き、『神川ひなた』さんを検索してメッセージを飛ばしていた。

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