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第86話 バーサーカープリンセスVSゲヘナプリンセス

 バーサーカープリンセスはゲヘナプリンセスと斬り合いをしていた。

 双方斬撃を繰り出し、ゲヘナプリンセスは最小限の動きで相手の斬撃を避け。

 バーサーカープリンセスは、斬撃を敢えて受けながら、自分の特殊技能プリンセススキル「プリンセス再生能力」で超回復。

 怯まずに反撃で斬りつける。


 今もそうだった。


 バーサーカープリンセスはゲヘナプリンセスの斬撃を肩で受け。

 その右肩を、その腕を半ばまで斬り落とされた。


 だけど。


 それをみるみる回復させ、一瞬遅れてそこから逆袈裟で斬り上げて行く!


 ゲヘナプリンセスは驚愕したのか、大きく跳び退いてそれを躱した。


「……なんと。そこまで斬られても……驚いたぞ」


「初代様、流石ですね」


 不敵な笑み。

 バーサーカープリンセス・阿修羅咲。

 当代の阿比須族滅流継承者。


 ……なんとも。

 流石というかなんというか。


「面白いではないか……もっと我を愉しませるのじゃ!」


 ゲヘナプリンセスは刀を正眼に構え、震えるような興奮が籠った声でそう言った。




 そしてデウスプリンセス、ヒューマンプリンセスは。


「くっ、バーサーカープリンセスの邪魔はさせない!」


 萬田君……グラトニープリンセスを叩いていた。


 鞭で。


「アカン。ゾクゾクする……」


「ヒューマンプリンセス、しっかりするのよ」


 ……2人して、バーサーカープリンセスの邪魔をさせないと仁王立ちしているグラトニープリンセスに鞭を浴びせてる。

 2人とも、落雷やかまいたちを起こす能力や、近代兵器を錬成して攻撃する能力を持っているのに。


 2人とも、黒い革の鞭をもって、グラトニープリンセスのエッチな太ももや、開いた胸元を執拗に叩いていた。

 そこに刻まれる赤い跡。


 ……2人とも、やめられないんだ。

 彼女たちの目を見たら分かってしまった。


 ……グラトニープリンセスがあまりにも可愛いオトコノコだから。


 そりゃま、鞭が作れるなら叩かずにはいられないよね。


 ……萬田君。

 恋人のために身体を張る彼に、私はオトコノコを感じて感銘を受けた。


 そのとき


「プリンセスヘルクライ!」


 ゲヘナプリンセスの特殊技能プリンセススキルの発動。


 彼女の声帯を通したゲヘナの力が、音波に破壊的威力を付加し、道路のアスファルトを吹き飛ばし、抉り散らす。

 前に春香ちゃん相手にやったときとは比較にならない威力。

 本気のプリンセスヘルクライ。


 バーサーカープリンセスはこれは受け止めきれないと判断し、地を蹴り横に逃げるが、遅すぎた。


 プリンセスヘルクライの効果範囲から逃れきれなかったバーサーカープリンセスの左腕が破裂して吹き飛んだ!


 バーサーカープリンセスはそれを意に介さず、再生しようとするが……


 それが一瞬の隙になる。


 ゲヘナプリンセスは踏み込み、脇構えから必殺の胴薙ぎを繰り出した。


「阿比須族滅流! 腰斬!」


 その一刀はバーサーカープリンセスの胴を切断し、上半身と下半身を泣き別れにさせた。


 そして


 宙を舞ったバーサーカープリンセスの上半身を、ゲヘナプリンセスは首で掴んで宙吊りにし、宣言する。


「……勝負ありじゃ」


 残虐な狂笑を浮かべつつ。


「咲ーッ!」


 恋人の惨状に、グラトニープリンセスの悲痛な叫び。

 バーサーカープリンセスには超再生能力があるから、このくらいは致命傷では無いけど……


 もはやここからの巻き返しは不可能。

 それは誰が見ても明らかだった。


 だから……


「……そこまでよゲヘナプリンセス!」


「今度はお姉ちゃんがあなたをワカらせるよ!」


 私たちはそれぞれの六道ホンを構えつつ進み出る。


 修行の成果、見せてあげるよ!

 優子!

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