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第83話 帰還した私たち

 バララララ……


 私たちは阿比須町に帰って来た。

 米軍にお願いして、未亡人製造機と言う名前の特殊ヘリを出して貰って。


「ヘイ、腕力家ガールズ様方、マジでここで良いでございますか?」


 ヘリの操縦士の白人のおじさんが、私たちにそう最後の確認をする。

 私たちは


「はい! ここまでありがとうございます!」


「助かりました! 帰りの飛行機のチケット無かったから、どうしようかと思ってたんですよ!」


 解放された昇降口から飛び降りる前に、お礼を言った。

 米軍人のおじさんは


「もう2度と沖縄に来ないでくれ腕力家ガールズ様方」


 そう私たちに返して、それきり振り返らなかった。


 まるで沖縄が米国領みたいな言い草だ。

 また行きます!


 そう心で返事をし、私たちは空中に身を躍らせた。

 パラシュート無しでだ。


 自由落下に身を任せ、墜落する。

 目的地は、阿比須中学校庭。


 ぐんぐん迫って来る地面。

 常人なら死を免れないけど……


 私たちはそのまま落下し、校庭にクレーターを2つ作って。

 そのまま起き上がった。


 落下の瞬間、春香ちゃんだけは眼鏡を手で覆ってガードしていたけど。

 それだけ。


 それだけが対策らしい対策。


 後は全部鉄身五身でイケるから。


「それじゃあ春香ちゃん、明日の朝、駅で会おうね」


「うん」


 身を起こしながら、私たち。


 そこでバイバイし、数日ぶりに帰宅。


 落書きだらけの我が家に帰ると、お母さんがお茶を飲みながらテレビを見ていた。


「あ、花蓮お帰り」


「お母さん」


 お母さんはリラックスしまくりで。

 テレビを普通に見ていた。


 ……テレビにはセーラー服美少女・優子が映っているのに。


 テレビの中の優子はオーバーアクションで演説していた。


『我は世直し司令官の閻魔優子じゃ!

 今の日本は腐りきっておる!

 それは愚直な働き者からの搾取の上に成り立つ世の中だからじゃ!

 正直者が馬鹿を見る歪んだ価値観が世界を覆う今……』


 ここで映像が国会前で肉片に変えられて殺し尽くされたデモ隊の姿が映し出される。

 転がりまくっている生首は、皆滂沱の涙を流していた。


 その映像を示しつつ、優子は続ける。


『我はこうして国会前デモ隊を皆殺しにしてこの国を目覚めさせた!』


 そしてまた優子の演説映像に戻り


『それは真のこの国の危機に備えるためじゃ!』


 そう言いつつ、優子はこんな言葉を示してきた。


 それは……無職の違法化。

 無職になって数か月以内に再就職しないと、財産を全部没収する。


 そんな、恐ろしい内容。


 それを示しながら、続ける。


『怠け者抹殺計画! この至高の計画を成し遂げんがため我はヒューマンプリンセスとデウスプリンセスの力を借りた!』


 この言葉と同時に、優子の傍に控える魔女のような衣装の飛馬先輩……ヒューマンプリンセスと。

 ギリシャ神話の女神のような姿をした天野先輩……デウスプリンセスの姿が映った。


 その2人を従えている……


 それを示しつつ、優子は


『富国強兵を実現したユートピアを築き上げるために!』


 そんな言葉で演説を締め括った。


 私は辛い気持ちになった。

 これは……止めなくちゃ。


 義姉として。

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