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第82話 5人目の腕力家、爆誕!

「ヘイ! ファッキンジャップの少女たち! アポ取ってるのか!?」


 守衛のおじさんが小屋から出て来て、私たちをスルーしないで立ち塞がって来た。

 とても怖い顔をしている。

 まあ、それはそうなるよね。


「ここは黄色イエローの来るところではない! アポが無いなら帰りなさい!」


 アポ。

 私たちは当然そんなもんとってないので。


 私はおじさんの脚を刈り。そのまま半回転させ、真上に来たおじさんの脚を叩き、さらに回転させる。

 そしてまた真下に来た足に足払いを掛け……以下、それの繰り返し。


 阿比須真拳奥義・人間風車!


 高速回転する守衛のおじさん。

 そのおじさんの回転の中心であるどてっぱらに私は拳を叩き込んだ。


 そのまま吹っ飛び、守衛のおじさんは守衛所の壁にめり込む。

 ※阿比須真拳は活人拳なので、命に別状はありません。


 ……これは開戦の狼煙だ。


「ジャップの少女たち! 身の程を弁えなさい!」


「自分たちが何をやっているか分かってるのか! 2匹のモンキー!」


 ほら来た。


 焦り顔の米軍の兵士さんたちが、機関銃を構えて大量にやって来た。


 軍人のおじさんたちは、私たちを射殺しようと、一定距離まで近づき。

 そしてその機関銃をフルオートで一斉射撃してきた。


 襲って来る大量の銃弾。


 だけど。


「そんなの効かないよ」


「眼鏡だけは気になるけどね」


 私たちはそのまま銃弾を受けた。

 鉄身五身を常駐させてる私たちに、こんなもの通用しないよ。


 春香ちゃんは目を押さえていた。

 正確には、眼鏡のレンズ部分を。


 鉄身五身は生身にしか効果無いので、眼鏡に銃弾が当たると普通に割れちゃうので。


 そして、何発撃っても私たちが死なないものだから、軍人のおじさんたち、ものすごく焦って


「クレイジー……オゥジーザス……!」


「デビルモンキー……!」


 弾丸を撃ち尽くしても生きてる私たち。

 その衝撃が覚めないうちに


 私は軍人のおじさんたちとの間合いを詰めた。

 最初からトップスピード。

 ゴキブリ師匠から学んだ技だ。

 おじさんたちには私がワープして来たように見えたに違いない。


 おじさんたちに混ざってしまうと、催涙弾だとか閃光弾とか使えないし。

 やりたい放題だよ。

 ※阿比須真拳は活人拳なので、命に別状はありません。




 瞬く間に米軍人のおじさんを殴り倒すと、私は頭に衝撃を感じた。

 でも、それだけ。


 ……どうやら狙撃されたみたいだけど、弾丸なんか鉄身五身の常駐化に成功した私の身体には通じないから。


 弾丸が当たったところから推理して、狙撃した軍人さんがどの辺にいるのか当たりをつけ。

 私はゴキブリダッシュで走り出した。

 殴り倒さなきゃ。




 建物がある。

 ドアから入ると、きっと待ち伏せされるよね。


 だったらどうするか?


 ……簡単だ。

 壁を破ればいいんだよ!


 というわけで、私はゴキブリ師匠の動きを応用し、それを蹴りに生かす。

 打撃というものは、力が加わる時間が短くなると威力が跳ね上がるようになっている。

 突きや蹴りを打つ際、目標に叩き込む速度も重要だけど、叩き込んだ後に拳や蹴り足を引く動きの速度も重要なんだ。


 なので。


 まるで居合のように、私は米軍兵舎の壁に蹴りを入れた。

 最初からトップスピードの蹴り。

 戻すのもトップスピード。


 すると。


 兵舎の壁が、木端微塵に吹き飛んだ。


 中に飛び込むと、冷や汗をだらだら搔いている米軍人のおじさんが。


 ~~~~ッッ


 って顔で沢山いて。


 私が中に飛び込んで、そんな軍人のおじさんたちを同時に4人ずつ殴り倒し、蹴り倒していると。


 私が開けた穴から、春香ちゃんが入って来て。


「すごいよ花蓮ちゃん! 単身素手で米軍基地の壊滅、達成できるよきっと!」


 そんな私の傍にやってきて、春香ちゃんが応援してくれる。


 春香ちゃんも流れ弾だったり、狙撃されたりしているけど。

 春香ちゃんも常駐化しているからダメージにはならない。


「春香ちゃんありがとう! 私、絶対に米軍基地を壊滅させるよ! 見ててね!」


 友達が見てるんだもの。

 頑張らないとね!


 私はニコリと笑みを浮かべ、続けて気絶してないおじさんを片っ端から殴り倒していった。




『本日11月14日、5人目の腕力家が誕生しました。閻魔花蓮さん(14)です! 世界の皆さん、この顏にも気を付けてください! 彼女が何をしていても、笑って許しましょう!』


 そして。

 私はそんなニュースを、食事処で山羊のスープを飲み、ソーキそばを啜りながら見た。


 そうか……されちゃったか。

 私が5人目の腕力家に……


 テレビ画面には、私が沖縄の米軍基地中の軍人を殴り倒してから、撮影した記念写真……

 スマホで、春香ちゃんに撮影してもらった、笑顔でピースサインした写真が映されている。

 私の足下には、気絶した米軍人のおじさんが転がってる。

 私の勝利を象徴的に示した写真だ。


 ……これは単身素手で米軍基地を壊滅させた証……。

 ※阿比須真拳は活人拳なので、命に別状はありません。


「これで花蓮ちゃんも義妹いもうとさんと並んだと思う」


 向かいの席では春香ちゃんが豚足をパクつきながら、ニュースを見ていた。


 春香ちゃんのそんな言葉……

 私も、そう思う。


 ……待っててよね。

 優子……私があなたに敗北を教えてあげるよ……!


 ※阿比須真拳は活人拳なので、命に別状はありません。

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