お父さん車の免許持ってないので。
仕方ないのでお母さんに車を出して貰って。
私たちはド田舎の「
ごく普通の農村らしいけど……
……ああ、ちなみに。
学校は休学届を出して来た。
すると問題なく受理されてしまった。
ウチの家の名前、影響してるのかなぁ?
阿比須町から車で3時間。
マイカーであるワゴン車に乗って。
「ああ、疲れたぁ」
「そうだねぇ」
春香ちゃんと並んで、現地に着いたので車を降りて早々伸びをする。
ああ、気持ちいい。
すると
「休んでる暇は無いわよ。休学して修行に来たんだから」
お母さんの言葉。
うん。
そうなんだけど。
ちょっとくらいは息抜きしないと。
そんなことを思いながらも、私たちは修行の準備として学校指定の緑色のジャージに着替える準備をしていると。
お母さんはお父さんに
「では、後はよろしくお願いしますね」
「ああ、車ありがとう」
言葉を交わし、車に乗り込んでしまう。
……え?
帰っちゃうの?
「もう帰るの?」
「お母さん、仕事あるからね」
ああ……そういえば懸賞金を掛けられていた日本の最凶死刑囚がこの間、元サーカスの劇団員だったオトコノコに捕まえられたんだっけ。
大変だなぁ……
そんなことを思いながら、去って行くワゴン車を見送る。
「さあ、お母さんも言っていたけど時間は無いぞ。早速修行開始だ。国生さんも」
お父さんが歩き出したので、慌ててついていく私たち。
一体、これからどんな修行をさせられるんだろうか……?
連れてこられたのは大きな倉庫。
何の倉庫なのかな?
「ここは?」
「家畜の餌置き場だ」
……家畜の餌置き場……?
そこで一体どんな修行を……?
「この村の畜産業で使う家畜の餌が纏められている」
ふーん……。
よく分からない。
何で修行でそこなの?
でもまあ、私は教わる側なので、疑問に思ったけど黙っていた。
「開けてみろ」
そう言われたので
「失礼しまーす」
そう言いつつ。
重い引き戸を力を入れて開けた。
するとだ。
……中は
最初暗かったけど、段々目が慣れて来て。
分かって来た。
そこには
カサカサ走る昆虫。
恐竜時代から姿が変わっていないことで有名な。
女子の天敵。
ようはゴキブリ……Gが居たんだ。
それも、一杯。
山のように……!
壁じゅう、ビッシリ。
私は青ざめ。
春香ちゃんは
「きゃあああああああ!」
……叫んでいた。
楳図かずおっぽく。
反射的に引き戸を閉める私。
そして
「ごごごごご……」
お父さんを振り返り。
泡食って中の惨状を訴えようとしたら
とんでもないことを言われてしまった。
「……最初の修行は、ここで家畜の餌の番をしなさい。……ただし……一切の殺生禁止で」
な……なんだってー!
「そんな! メチャクチャだよ!」
私が思わずそう訴えたんだけど。
お父さんは
「修行と言うものは指示に従わないと始まらないぞ。……ゴキブリを師匠と思いながら餌の番をするんだ。いいね?」
全く取り合わず、その場から立ち去ってしまった……。
ど、どうしよう……?