シンヤさんはコンビニ店長……
隣町の
シンヤさんの下に、3人の雇われ店長がいるらしいんだけど。
それでも、紛れもなくシンヤさんはコンビニ店長……。
私たち
どうなんだろうか……私のこの想いは。
捨てるべきなんだろうか……?
私がそんなことを考えながら、夏の暑い日の昼前に、図書館に向かっているときだった。
「閻魔さん、奇遇やな」
図書館の出入り口で、バッタリ会ったんだ。
「飛馬先輩」
おっきな胸に、眠そうな目、そして三つ編みのおさげ。
天野先輩の相棒枠の女性……飛馬先輩に。
「いやあ、楽しいなぁ。仲間が増えて」
いきなり「時間あるか?」って言われて。
正直、図書館は今日である必要は無かったから後回しで。
私は飛馬先輩の誘いに乗った。
飛馬先輩は、お洒落なカフェに連れて来てくれた。
「ここの代金はウチが持つから、何でも好きなもん頼みぃ」
笑顔でそう言って来る。
おお……太っ腹。
こういう場合は、応じないと失礼だよね。
だから
「すみません。いただきます……でも、お金大丈夫なんですか?」
遠慮しつつも、私は紅茶を1杯注文した。
すると
「大丈夫大丈夫。ウチは特許料でガッポリ稼いどるから、こんなもん屁でもあれへん」
言って、着ている「蝶デカイ」という文字がプリントされたTシャツの胸をドンと叩き。
そのおっぱいがブルン、と震えた。
……その光景を見て、周囲の男性の中で、どうみても私と同年代の男の子が前を押さえて身を震わせている。
思わずイってしまったのかな……?
そんな様子を見つめつつ
「天野先輩に、何で六道プリンセスになったのかを訊かれました」
「そか」
……そこで、使命に掛ける思いを測るんだろうか?
私は正直に「自動車に撥ねられて、引き摺られて、死にかけて必要に迫られてなりました」って答えた。
天野先輩は、通り魔の拡大自殺の現場に遭遇して、皆の笑顔を守るためにシシガミと契約して六道プリンセスになったって言ってた。
カッコいい人はそういうところもカッコいいんだなぁ、って思った。
「ウチは、拡大された頭脳の性能が欲しくて契約したんや」
ニコニコしながら飛馬先輩。
えっと……
「ウチが六道プリンセス……ヒューマンプリンセスに変身すると、人間の最大の特徴的臓器である脳の性能が爆上がりする」
そう、ウットリしながら言っていた。
……そういや、さっきサラッと流したけど。
特許がどうとかって……
この人、この年齢で特許取れるようなすごい発明をしてる人なの?
すごい……!
胸もすごいけど! それだけじゃないんだ!
「すごいですね!」
思ったことをそのまんま言った。
すると
「うん、すごいんや。分かるって言うことはとてもすごいことなんや」
嬉しそうにそう繰り返した。
「ケダモンどもと違って、人間だけが世界の設計図を覗けるんや! それに比べれば、他のことなんていくらでも犠牲にできるわ!」
笑顔で飛馬先輩は思いのたけを口にした。
「世界の設計図を全部見せてもらえるんやったら、ウチは死んでも構えへん!」
そして
……その目の中には常人には無い光があったよ。
狂気という光が。