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第26話 このクソ■ート!

 私が見ている前で、咲さんのバーサーカープリンセスと萬田くんのグラトニープリンセスが戦い始めた。


「このストーカー野郎が!」


 ジャンプしたグラトニープリンセスの回し蹴りが、背後からベノストーカーの胴体に炸裂する。


「プリンセスアバドーンレッグクラッシュ!」


 ……ああ、あの蹴り、特殊技能プリンセススキルなんだ……。

 すごい威力。


「グギャアア!」


 体重差を無視して、吹っ飛ばされて病院の壁にめり込むベノストーカー。


「聞いた話だけど、既婚者相手に言い寄って玉砕したことを逆恨みってどういう了見だ!?」


 すると壁から這い出しながら


「俺に好きにさせておいて、プロポーズを断るなんて無責任すぎるだろ!」


 そんな鳴き声をあげる。


「俺の求婚を断るなんて……ふざけてる!」


「既婚者だって言ってるでしょ!? 話聞いてんの!?」


 バーサーカープリンセスが鳴き声にツッコむ。

 すると


「離婚すればいいだろ!」


「何でお前のために女性が離婚しなきゃいけないんだよ!? 好きでもないのに!」


 グラトニープリンセスの激しいツッコミ。

 するとベノストーカーは


「じゃあ好きにさせるな! 責任取って離婚して俺の女になれ!」


 ……堂々巡り。


 ホント何言ってんのコイツの鳴き声?


 すると


「……閻魔さん、私たちも変身しよう」


 わなわなと国生さんは怒りに震えていた。


 ……ああ。

 そりゃそうか。


 アイツの鳴き声、国生さんの家を壊せって言ってるのと同じだもんね。

 許せないよね。


 だから


「国生さん、トイレに行こう」


 そう言って、私は国生さんの手を握った。

 ……何気に、手を繋いだのは初めてで


 さらさらした、綺麗な手だった。




 トイレなら監視カメラが無いはず。

 あったら大問題。だからきっと大丈夫。


 中は無人だった。

 ……問題ないかな?


 よし!


 私たちは六道ホンを取り出す。


 そして六道ホンをパカと開き。

 それぞれ、ナンバーを入力する。


『Standing by』


 電子音声。


 そして私たちは高く六道ホンを掲げて宣言した。


「変身! 六道シックスプリンセス!」


 そんな私たちの叫びに反応する六道ホン。


『Complete』


 その電子音声に合わせ私たちは光に包まれ。


 その光が消えたとき。

 私たちは六道プリンセスになっていた。


「地獄の使者! ヘルプリンセス!」


「畜生の化身! ビーストプリンセス!」


 そして私たちも見得を切る。

 見得を切った後。


 女子トイレを飛び出して、私たちも妖魔獣との戦いに身を投じたんだ。




 外に出ると、妖魔獣ベノストーカーと六道シックスプリンセスの戦いはまだ発狂りかいさせの段階で。

 女性に選ばれる男性の資格の話になっていた。


 どうやらベノストーカーは高校中退しこのトシまで無職だそうだ。

 それに対して


「どうせ今のダンナは生まれつきちょっと勉強が出来るだけで、あんな仕事できる上に外見もいい女にありついたんだ! 貧乏な俺に譲るべきだ!」


 ベノストーカーはそんなふざけた鳴き声を発し


「ハァ!? テメエふざけんな! プリンセス潜在能力解放殴り!」


 それを受けてバーサーカープリンセス。

 抜き放った刀でベノストーカーをぶん殴る。

 峰打ちだった。


「ギャアアア!」


 そしてぶっ飛ばされるベノストーカー。

 死にはしないけど。


 ……まあ、まだ浄化できる状態じゃ無いからね。


 バーサーカープリンセス……咲さんの怒りが伝わってくる。

 気持ちは分かる。


 あまりにも自分本位な鳴き声だもの。

 そこで


「ふざけるなこのクソニート!!」


 ……あ。

 国生さん……ううんビーストプリンセスが激昂した。


「お母さんはモノじゃない!」


 激怒の表情で叫ぶ。


 そして


「プリンセスケンタウロスモード!」


 その力強いシャウトと同時。

 ビーストプリンセスの下半身が黒王号ばりの灰色の巨馬になった。


 おお……


 そしてそのまま


 パカラッ、パカラッとベノストーカーに突っ込んでいって


 後ろ足で思い切り蹴り飛ばした。


「プリンセスホースキック!」


「グギャアアアア!」


 ガシャアアアアン!


 病院の玄関自動ドアをぶっ壊し。


 ベノストーカーは病院から叩き出された。

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