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第16話 魔法少女のお約束

 放課後になった。

 約束通り、私たちは屋上に上がった。

 最近は施錠されているところが多いらしいけど、ウチの中学校はそうじゃない。

 時間制限はあるけど、基本開放されている。


 屋上。

 学校生活部の屋上菜園がある以外は、ベンチしか無い殺風景な場所。


 今日は、学校生活部の活動が無いのか、人気が全く無かった。


 そんなところで国生さんと一緒に、屋上のベンチに腰掛ける。

 まだまだ日の高い、青空の下。


「よく来てくれたね」


 私たちを呼び出した馬面妖精バキが


「これから話すことはとても大切なことだ。よく聞いてくれ」


 ……何かな?


 バキの話は、こうだった。


 まず、私たちは基本、他人の記憶に残らないらしい。

 私たちが六道シックスプリンセスであるという事実は。

 例え目の前で変身しても、だ。


 その場合、私たちがどっかにさっさと逃げて、入れ替わりに六道プリンセスが現れた。

 こういう風に映るそうだ。

 認識阻害という六道プリンセスの基本能力らしい。


 ただし。

 これは機械には通用しない。


 機械で変身シーンを撮られるとアウト。

 正体がバレる。


 なので、周囲に監視カメラが無いかどうかは、今後は気をつけてくれと言われた。


 あと、例外の存在。

 私たちのことが記憶に残る人種の存在だ。


 それは……六道プリンセス本人と、六道プリンセス候補生。

 そして……体育教師、用務員、コンビニ店長、自分のストーカー、ヤリチン学生。


 この後者の5種の人間には、私たちのことが記憶に残る。

 絶対に気を付けろと言われた。


 過去、何人もの魔法少女を名乗った女の子たちが、この5種類の人間の餌食になった悲しい歴史があったらしい。

 酷い話だよ。


「……皆を守るために戦うのに、同じ人間にそんな酷い目に遭わされるなんて……その子たち、ものすごく辛かっただろうね……」


 国生さんはそう言って、悲しい顔をした。

 優しいね……国生さんは……。




「あと、これは僕らの内輪の話なんだけど」


 重い話の後。

 バキは自分たちの話をはじめた。


 ……まあ、前からバキは「僕たち」って言い方してたから、予想はしてたけど。


 こっちの世界に来た冥府の妖精って、バキだけじゃ無いんだって。


 合計3体。


 バキと、ケンジャキと、シシガミの3体。


 どんな姿をしているのか気にはなったけど、別に今どうしても知らないといけない情報でも無いし。

 私は聞かなかった。


「……ちなみに、それぞれ2名ずつ六道プリンセスを探し出すノルマがあって」


 バキは、一番最後にノルマを達成したんだそう。


 つまり……


「他の六道プリンセスは、すでに選ばれて妖魔獣と戦っているの?」


 そう、国生さんが纏めると。

 バキは黙って頷いた。

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