「阿比須真拳奥義! 内臓破裂闘気!」
私は両手を高く上げ、接近して来た3体の妖魔獣と化した不良生徒に、命に別状がない形で内臓破裂を引き起こす必殺の闘気を放射した。
私の周囲半径3メートル圏内だ。
同時に
「あぎゃああああ!」
3体の妖魔獣体内の肝臓が命に別状がない形で木っ端みじんに爆裂し、行動不能の状態に陥った。
その場で転げ回り、悶え苦しんでいる。
だけど……こんなのきっと時間稼ぎにしかならない。
どうせすぐに再生するに決まってる。
だって相手は、人間を殺戮するために生み出された怪物だよ?
内臓破裂闘気ひとつで決着なんてつくわけない。
……その間に変身しなきゃ!
ヘルプリンセスに!
けど……どうやって?
そのときだ
「花蓮、
馬面妖精バキがどこからともなくしゃしゃり出て来た。
妖精……!
「バキ! 教えて! どうすればまたヘルプリンセスになれるの!?」
切羽詰まっているため、声がキツくなる。
そんな私の心を推し量ってくれたのか、バキは
「これを使うんだ」
スッ……と。
漆黒のガラケーを差し出して来た。
……今頃……ガラケー?
2つ折りになる、大人に見せたら「懐かしい!」という声を発しそうなデザイン。
これで変身できるの?
「バキ、手短に! これでどうやって変身するの!?」
「落ち着いて! まず、その六道ホンを開いて!」
こう!?
片手でパカ、と2つ折りになっているガラケー……六道ホンを開く。
「そしてキー入力で、459と入力するんだ!」
言われた通り、私は親指で番号をプッシュする。
4・5・9
するとその瞬間
『Standing by』
電子音声が流れる。
「そして六道ホンを高く掲げてこう叫ぶ! 変身!
「変身!
私の叫び。
それに、六道ホンが反応した。
再び、電子音声が鳴ったのだ。
『Complete』
その瞬間、私に変化が起きる。
私は光に包まれ……
黒い魔法少女の衣装。
へそ出しルック。
グローブとブーツを装着していて、その色も黒。
ベルトとグローブの甲の部分に、髑髏の意匠が入ってる。
……変身、出来た……!
私は感動していた。
変身した自分の手指を確認し、見つめる。
そこに
「閻魔殺すううう!」
多腕の妖魔獣・五味山が後ろから襲い掛かって来る。
私は
「阿比須真拳奥義! 顔面陥没!」
振り向かず、顔面に裏拳を叩き込む。
グワーッ!
吹っ飛ぶ五味山。
私は振り向き、構え
「ここからは私のステージだから! このヘルプリンセスに、とっとと浄化されなさい!」
力強く、そう宣言した。