「あんなのを毎日やってるの?」
そして7時過ぎに登校中、私について来たバキにそんなことを訊かれる。
「うん。日課の稽古」
毎朝のルーティーン。
やらないと何か落ち着かない。
すると、彼は何か感じるものがあったみたいで
「……僕がキミを選んだのは間違いじゃなかったようだね。キミこそ伝説の戦士の逸材だ」
って。
……そんな事を言われると、なんかこそばゆい。
やめて欲しいなぁ。
そうこう雑談していたら。
私の通ってる中学の「阿比須中学校」に到着。
この段階で、まだ7時半になってない。
誰も登校してないので、ひとりで校門を潜って。
下駄箱に着くと、靴を上履きに履き替える。
……下駄箱に「バケモン一家」「文明の破壊者」「クズ」って落書きがされてる。
ウチの家に直接攻撃できないから、こうやって落書きで攻撃するしか無いんだよね。分かってるよ。
私は溜息をついて、靴を下駄箱に仕舞い、教室に向かう。
そして教室に到着。
当然誰もいない。
私だけ。
自分の席に着くと
当然、机にも落書き。
「学校に来るな閻魔一族」「実質天竜人」「害虫」
……全く。
まあ、油性マジックで書いてるだけだから、勉強には支障ないし。
ほっといてるんだよね。
前に1回、彫刻刀で悪口を彫った不良生徒が居て。
そのときは机の交換を先生に申し出たんだけど。
「はっ、閻魔様。すぐ交換致します!」
先生がすぐに対応してくれて。
そして彫刻刀で机に悪口を彫った不良生徒は、停学3年になった。
「二度とこんなことが起きないように、厳重に注意しておきました!」
そんなことを先生が。
正直やり過ぎだと思ったけど、先生は「閻魔様に文句を言う者は学校に来なくても良いのです!」って言って聞いてくれなかった。
……責任を感じる。
目を閉じて、少し唸って。
思い直した。
まあ、いいや。
とりあえず、今日の英語の授業の予習をやり直すか。
折角時間あるわけだし。
そして、午前中の授業を問題なくやり過ごし。
お昼休み。
鞄からお弁当箱を出す。
お母さんの手作りだ。
タッパーに、一杯のおじや。
そしてバナナ1房。
炭酸抜きコーラ。
いじょ。
おじやはタッパーが液漏れがしないように、厳選したやつで。
私のお気に入り。
食事開始。
もそもそもそ。
バナナを食べながらおじやをかき込み、炭酸抜きコーラで流し込む。
誰も一緒に食べてくれない。
私に関わると、このクラスの札付きの不良生徒に目をつけられるからだ。
このうち、汚礼は現在停学中。
次に登校できるのは3年後だ。
彼らは、街でしょっちゅう補導されているらしい。
無免許で、堂々とバイクに乗ってるところも見たことがある。
周囲を威嚇するために、髪の毛を金色に染めて変形の制服を着ているつまらない人たち。
……彼らは2人でつるんで、楽し気に会話している。
まぁ、どうでもいいけど。
そしておじやの続きをかき込んでいたら。
「閻魔さん」
後ろから声を掛けられた。
誰だろう……?
と振り向く。
そこには……
大人しそうな、眼鏡を掛けた背が低めの女子がいた。
背は低く、髪は長い。
そしてその長い髪を三つ編み2つにし、纏めていた。
確か名前は……
「
国生春香さん。
確か普段、本ばかり読んでる子だ。
何を読んでるんだと気にはなるけど、親しくはないから確かめられない。
「何の用?」
彼女とは特に今は関りが無かったはずだ。
何の用なんだろうか?
「一緒にお弁当を食べませんか?」
すると。
言われたのはそんなことだった。
……えっと。