大体30分くらい掛けて歩いて。
自宅に到着した。
私の家……
『閻魔死ね』
『一家心中シロ』
『偽善者』
『ぜってえ許さねえ』
『ゴルプラさんこっちです』
書かれている数々の落書き。
……私の家は200坪の日本家屋平屋建て。
築100年の古い家だ。
ちなみに持ち家で、お父さんがお爺ちゃんから相続した。
だけど……山ほどの落書きで本来の家の雰囲気は無い。
でも
……警察に言って犯人逮捕してもらっても、相手は慰謝料払えない上に、別のヤツがまた来るんだよね……
平気じゃ無いけど、しょうがないので慣れた。
落書きされている理由は、お父さんとお母さんと私。
……平たく言うと家族全員が原因。
私のお母さんは裁判官。
そしてお父さんは格闘家。
両親ともに他人の恨みを買ってしまう職業なので、こうなっている。
あーあ。1回で良いから落書きの無い家に住みたいなぁ……
そんなことを愚痴りながら、家の玄関の引き戸をガラガラ開けた。
「ただいまー」
「あら、コンビニ行くだけでだいぶ掛かったわね」
割烹着を着たお母さんが出迎えてくれた。
私のお母さん。
閻魔あおい。
あまり私と似てない。
私は活動的な子って言われているんだけど、お母さんは清楚。
和風美人で、知的な感じの女の人。
「ちょっと色々あって」
「あら、暴漢に絡まれたの?」
ちょっと自動車に撥ねられて3キロ引き摺られてました。
そして妖精に出会って、
なんて言えないし。
「うん。学校で私を恨んでる奴らが闇討ち」
そう言って、笑って誤魔化した。
「……自分から手を出さなかったでしょうね?」
「してないよ」
心配されたけど、私は嘘で答えてしまう。
お母さん、ごめんなさい。
「ちょっと気持ちを落ち着けたいから自分の部屋に行くね」
そう言って誤魔化し、自室に引っ込む。
……お母さん、何か気づいたのか不審な目で私を見ていた。
自室に入った。
床に要らないものが散らかってないのが自慢ではあるんだけど……。
そこを歩き、勉強机に向かった。
そして椅子に腰を下ろし。
私は
「……詳しい話をして貰えるかな? バキ?」
私に憑いてずっといた妖精……バキに訊ねる。
妖魔神って?
勢いで契約してしまったから、訊かないと。
すると
「
いきなり、そんな返答が来た。
伝説の……戦士?
彼は頷いて続けた。
「合計6人。六道の戦士だからね……六道って知ってる?」
私が首を横に振ると、説明してくれた。
地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天上の6つの道。
冥府の戦士だから、そうなんだって。
私はヘルプリンセスだから……地獄道か。
改めて思うと……
なんか……嫌だな。強かったけど。
「冥府の女王・ヘカーテ様は、地球が妖魔神の侵略を受けようとしていることに気づき、
そうなのか……
で、妖魔神って?
そう私が先を促すと
「宇宙の精神生命体さ。キミたち人間と違い、肉体で栄養を摂取しない。精神で栄養を摂取する。……具体的に言うと、知的生物の魂を捕食する」
……何それ。
めっさ怖い。
魂を捕食するって……
身体を食べられるより怖いよ。
それは……倒さないといけないよね。
俄然聞く気になった私は、もうひとつ分からないことを訊ねる。
「妖魔獣って何で来るの?」
ご飯が目的なら、そんなもの要らないと思うんだけど……
直接食べに来ればいいような……
そしたら
「妖魔神は、直接食物を得る行為を「下品である」と考えている。なので、妖魔獣を生み出し、妖魔獣に人間を殺戮させ、その犠牲者の魂を啜るんだ」
なるほど……
変なこだわりがあるんだ。
でも、それで助かっている面もあるのかな。
まあ、とりあえず、バキの話を聞いて分かったことは。
……仲間を探すことかな。
全部で6人居るんだし。