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第5話 六道プリンセスって何?

 大体30分くらい掛けて歩いて。

 自宅に到着した。


 私の家……


『閻魔死ね』


『一家心中シロ』


『偽善者』


『ぜってえ許さねえ』


『ゴルプラさんこっちです』


 書かれている数々の落書き。


 ……私の家は200坪の日本家屋平屋建て。


 築100年の古い家だ。

 ちなみに持ち家で、お父さんがお爺ちゃんから相続した。


 だけど……山ほどの落書きで本来の家の雰囲気は無い。


 でも


 ……警察に言って犯人逮捕してもらっても、相手は慰謝料払えない上に、別のヤツがまた来るんだよね……


 平気じゃ無いけど、しょうがないので慣れた。


 落書きされている理由は、お父さんとお母さんと私。

 ……平たく言うと家族全員が原因。


 私のお母さんは裁判官。

 そしてお父さんは格闘家。


 両親ともに他人の恨みを買ってしまう職業なので、こうなっている。

 あーあ。1回で良いから落書きの無い家に住みたいなぁ……


 そんなことを愚痴りながら、家の玄関の引き戸をガラガラ開けた。


「ただいまー」


「あら、コンビニ行くだけでだいぶ掛かったわね」


 割烹着を着たお母さんが出迎えてくれた。

 私のお母さん。

 閻魔あおい。


 あまり私と似てない。

 私は活動的な子って言われているんだけど、お母さんは清楚。

 和風美人で、知的な感じの女の人。


「ちょっと色々あって」


「あら、暴漢に絡まれたの?」


 ちょっと自動車に撥ねられて3キロ引き摺られてました。

 そして妖精に出会って、六道シックスプリンセスになってしまいました。


 なんて言えないし。


「うん。学校で私を恨んでる奴らが闇討ち」


 そう言って、笑って誤魔化した。


「……自分から手を出さなかったでしょうね?」


「してないよ」


 心配されたけど、私は嘘で答えてしまう。

 お母さん、ごめんなさい。


「ちょっと気持ちを落ち着けたいから自分の部屋に行くね」


 そう言って誤魔化し、自室に引っ込む。

 ……お母さん、何か気づいたのか不審な目で私を見ていた。




 自室に入った。


 床に要らないものが散らかってないのが自慢ではあるんだけど……。

 そこを歩き、勉強机に向かった。

 そして椅子に腰を下ろし。


 私は


「……詳しい話をして貰えるかな? バキ?」


 私に憑いてずっといた妖精……バキに訊ねる。

 六道シックスプリンセスって何なの?

 妖魔神って?


 勢いで契約してしまったから、訊かないと。


 すると


六道シックスプリンセスは、妖魔神から人間の魂を守る伝説の戦士だ」


 いきなり、そんな返答が来た。

 伝説の……戦士?


 彼は頷いて続けた。


「合計6人。六道の戦士だからね……六道って知ってる?」


 私が首を横に振ると、説明してくれた。


 地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天上の6つの道。

 冥府の戦士だから、そうなんだって。


 私はヘルプリンセスだから……地獄道か。

 改めて思うと……

 なんか……嫌だな。強かったけど。


「冥府の女王・ヘカーテ様は、地球が妖魔神の侵略を受けようとしていることに気づき、六道シックスプリンセスに地球を守らせるために僕たちを派遣したんだよ」


 そうなのか……

 で、妖魔神って?


 そう私が先を促すと


「宇宙の精神生命体さ。キミたち人間と違い、肉体で栄養を摂取しない。精神で栄養を摂取する。……具体的に言うと、知的生物の魂を捕食する」


 ……何それ。

 めっさ怖い。


 魂を捕食するって……

 身体を食べられるより怖いよ。


 それは……倒さないといけないよね。


 俄然聞く気になった私は、もうひとつ分からないことを訊ねる。


「妖魔獣って何で来るの?」


 ご飯が目的なら、そんなもの要らないと思うんだけど……

 直接食べに来ればいいような……


 そしたら


「妖魔神は、直接食物を得る行為を「下品である」と考えている。なので、妖魔獣を生み出し、妖魔獣に人間を殺戮させ、その犠牲者の魂を啜るんだ」


 なるほど……

 変なこだわりがあるんだ。


 でも、それで助かっている面もあるのかな。


 まあ、とりあえず、バキの話を聞いて分かったことは。


 ……仲間を探すことかな。

 全部で6人居るんだし。

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